研究課題/領域番号 |
23500962
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
稲山 貴代 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (50203211)
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キーワード | 栄養学 / 障がい / 身体活動レベル / 栄養計画 / 食生活支援 / 理論枠組み / 質問紙調査 / 加速度センサ |
研究概要 |
当初、平成23年、24年度で以下の2つの目的を計画した。 1.在宅での自立した日常生活の活動量を検討し、身体活動レベルの評価を行う(以下、活動量評価) 2.車椅子利用者の栄養・食生活の実態を把握・評価するため理論枠組みにもとづく質問紙調査を実施する。さらには有効なソーシャルサポートを明らかにする(以下、食生活評価) 平成23年度では2の目的に対する調査研究が進展していることから、平成24年度では、1の目的に対する測定研究をすすめた。安全性の確認も含め、まずは健常成人男女20名を対象に、脊髄損傷者の車椅子利用時の代表的な日常の生活行動の活動量を評価することを目的とした。両手首、両上腕部の計4箇所に小型無線モーションレコーダーを装着し3軸加速度、3軸角速度を測定、同時に呼気ガス分析でエネルギー消費量を求め、実測エネルギー消費量、実測METs、加速度および角速度、身体特性との関係を明らかにした。日常の代表的な生活活動には、活動量が低いことが予想される行動(塗り絵、コンピューターでのデスクワーク、読書、調理、洗濯ものたたみ)、活動量が普通であると予想される行動(軽い荷物の運搬、車椅子での普通の走行など)をとりあげた。各行動は3-10分間程度とし、この間、ポータブルガスモニターにより酸素消費量、二酸化炭素排出量の測定からエネルギー消費量、呼吸商を算出、同時に、小型無線モーションレコーダーで上肢の計4箇所における3軸の加速度(A)および角速度(G)を測定した。 エネルギー消費量との関係をステップワイズ回帰分析で検討した結果、男性では非利き腕手首でAy、Ax、Gyz、非利き腕上腕部でAy、女性では非利き腕手首でAy、非利き腕上腕部でAxzの加速度もしくは角速度を使ったモデル式が得られた(決定係数はそれぞれ0.74、0.70、0.79、0.70)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的1に関しては、包括的評価についてはその成果を論文発表1報できている(査読有り)。QOLに関連する要因についての検討は口頭発表1報、ならびに論文発表1報が受理・印刷中、主観的健康感の関連要因については口頭発表1報の他、現在論文投稿中である。協力いただいた機関にその成果を還元するために作成したフィードバックのリーフレットは、最終版について関係団体と調整中である。その他、食物摂取状況と食生活の要因間の関係について口頭発表1報のほか、論文投稿中である。 研究目的2に関しては、24年度に査読中の予備検討の論文が受理・発表されている(査読有り)。25年度のデータについては詳細な解析をすすめており、現在投稿論文準備中である。また、25年度に実施予定の脊髄損傷者の方を対象とした測定研究を企画、首都大学東京での研究安全倫理委員会の審査を経ている。
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今後の研究の推進方策 |
食生活評価については、包括的評価、QOL関連指標との関係に続き、さらに食物摂取状況、行動変容ステージ、セルフ・エフィカシーなどに注目した解析をすすめ、学術雑誌への投稿をすすめる。 活動量評価については、24年度の健常者を対象とした測定研究で安全性の確認や得られる成果の見通しが可能となったことから、脊髄損傷者を対象とした測定研究をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果発表およびリーフレット作成のための資料整理、印刷、配布などに研究費使用を計画している。 活動量評価では、測定場所として独立行政法人国立健康・栄養研究所、国立障害者リハビリテーションセンター、早稲田大学などを予定していることから、測定に関わる旅費、測定補助、測定者金、さらには成果発表に研究費使用を予定している。
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