平成23年~24年度での研究成果をもとに,平成25年度では,以下の2つの目的を計画した。 1.食生活評価:平成23年度に実施した多目的調査のデータセットを用いて,包括的評価,QOL関連指標との関係に続き,食物摂取状況,行動変容ステージ,セルフ・エフィカシーなどに注目した解析をすすめる。 2.活動量評価:24年度の健常者を対象とした測定研究で安全性の確認や得られる成果の見通しが可能となったことから,脊髄損傷者を対象とした測定研究をすすめる。 1の目的に対しては,健康度自己評価や食生活満足度は,行動要因では排便時間規則性などの自己管理,朝食や副菜の摂取,食卓での家族との会話,準備要因では副菜や主食摂取に関する食態度,食生活の問題対処スキル,環境要因では周囲の支援,食物へのアクセスが関連していた。共分散分析構造では,「食に関するQOL」,「望ましい食行動」,「準備・強化要因・食スキル」,「実現要因・食環境」の4つの潜在変数による食生活要因間構造をもつことが示唆された。いずれも,学会発表や論文発表を行った。また,成果をリーフレットにまとめ,研究協力者へのフィードバックや関連団体のHPを通した情報発信など,社会還元も果たした。 2の目的に対しては,平成24年度の健常成人男女20名を対象とした車椅子利用時の代表的な日常の生活行動の活動量データの解析をすすめた。その結果,非利き腕上腕部での計測で,加速度の合成値と角速度を組み合わせることによって,男性ではr2=0.85,女性ではr2=0.83の高い決定係数を得た。男性においては,非利き腕の上肢長が説明変数に残った。解析を進めるなかで,中強度から高強度の活動評価を加える必要性が示唆され,25年度では,健常成人を対象に,早い速度での車椅子走行の負荷による予備検討を行った。
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