研究課題
ポリフェノール類は、胃腔条件で、亜硝酸と反応して様々な化合物に変化する。この年度は、リンゴおよびアズキに含まれているカテキン類と亜硝酸との反応産物の同定を行った。これらの反応産物が明らかになれば、それらを単離して澱粉消化にどのような影響を与えるかについての研究が可能になる。まず、リンゴのメタノール抽出液を唾液と混合すると、りんごに含まれている(+)-カテキン、(-)-エピカテキン、およびプロシアニジンB2の速やかな消費が観察され、その消費に伴って、ジニトロソカテキン、ジニトロソエピカテキン、およびジニトロソプロシアニジンB2の精製が確認された。アズキの抽出液を唾液と混合した場合も、リンゴの場合と同様に、胃腔条件でアズキカテキンのニトロソ化が観察された。続いて行った研究は、ジニトロソカテキンおよびジニトロソエピカテキンと亜硝酸との更なる反応が可能であるかどうかであった。これらのジニトロソ化合物は、亜硝酸でキノン体に酸化された。一般的にキノン体は胃腔条件で唾液に含まれているチオシアン酸と反応できることを我々は示してきているので、これらジニトロソカテキン類由来のキノン体もチオシアン酸と反応できるかどうか調べた。その結果、ジニトロソカテキン類の6’の炭素にチオシアン酸が結合した化合物が生成することが分かった。ここ数年間の我々の研究から、ポリフェノール類による澱粉消化抑制は、ポリフェノールの澱粉への疎水的結合によるものであることが明らかになってきている。ジニトロソカテキンのチオシアン酸付加物の疎水性はカテキンより大きいので、もし、この付加物が胃腔で生成すれば、カテキン類の胃腔での反応産物による澱粉消化抑制も可能になってくる。
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