研究課題/領域番号 |
23500970
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
高尾 哲也 昭和女子大学, 大学院・生活機構研究科, 教授 (10338543)
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研究分担者 |
小池 文彦 日本大学, 医学部, 助手 (20215148)
青木 三恵子 山陽学園短期大学, 食物栄養学科, 講師 (50249538)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 味覚 / 味覚受容体 / hTAS2R / 発現 |
研究概要 |
糖尿病など生活習慣病患者の、疾病が味覚に及ぼす影響や、治療の一環としての栄養摂取制限の食事が味覚に及ぼす影響は、明らかとなっていない。そこで本研究では、糖尿病と診断された疾病者を被験者として、味覚の状態を味覚受容体の発現性を指標として明らかにする事、被験者の食事及び栄養摂取状態を明らかにする事を目的とした。 研究に同意した、自覚的味覚異常がなく、非喫煙の糖尿病患者19名を糖尿病被験者とした。これら糖、尿病被験者より擦過法により舌組織を採取し、RT-PCR法により味覚受容体hTAS2Rsの発現性を検討した。同時に半定量的食事摂取頻度調査により、食事及び主要栄養素摂取状況を把握した。 糖尿病被験者の平均年齢は63.1±14.2歳、平均有病期間は12.0±8.0年であった。また、インスリン投与による治療は30.0%、糖尿病薬投与は36.7%、インスリン投与及び糖尿病薬併用は3.3%、食餌療法等による生活改善は36.7%であった。栄養摂取状態では平均エネルギー摂取量2,019±230kcal、平均PFCバランスは、たんぱく質(P)20%、脂質(F)30%、炭水化物(C)50%であり、脂質の摂取割合が若干多かった他はおおむね良好で、低栄養状態を示さなかった。hTAS2Rsの発現性を、疾病を有さない、自覚的味覚異常がなく、非喫煙のコントロール被験者と比較した。その結果、40~59歳のコントロール被験者のhTAS2Rs発現種類数は14.0±3.7種類であるのに対し、糖尿病患者では0.9±1.1種類と有意に低値を示した。他の年代においても同様の傾向を示し、60~79歳では12.0±3.5種類に対し1.0±1.8種類、80歳以上では8.3±1.9種類に対し0.5±0.7種類であった。これからの事から、糖尿病患者では一旦獲得した味覚受容体発現性を失い、QOL低下の一因となっていると考えられた。
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