研究課題/領域番号 |
23500971
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
上村 尚美 日本医科大学, 付置研究所, 講師 (60283800)
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研究分担者 |
太田 成男 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00125832)
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キーワード | 糖尿病 / 酸化ストレス / 抗酸化剤 |
研究概要 |
申請者らは、これまでの研究により、水素分子(H2)が抗酸化物質として優れており、2型糖尿病モデル動物(db/db マウス)に水素分子を投与することによって、高血糖や肥満が改善することを発見した。本研究では、生体内の酸化ストレスを定量評価できる糖尿病モデルマウスを開発し、糖尿病の発症と進行における酸化ストレスの発生と水素分子による除去を時空間的に明らかにすることを目的としている。 24年度は、前年度に作製した生体内での酸化ストレス検出のためのモデルマウスの解析を行った。酸化ストレス検出のために導入した遺伝子はroGFP(生体内の酸化還元状態により蛍光が変化する緑色蛍光タンパク質)である。作製したトランスジェニックマウスでの組織別のroGFPの発現を調べた結果、膵臓、肝臓、脳、心臓、骨格筋、皮膚、及び、目で発現しており、生体内の酸化還元状態をモニターできることが明らかとなった。現在は、膵臓、及び、肝臓でroGFPを発現しているトランスジェニックマウスのラインを用いて糖尿病モデルマウスとの掛け合わせを行っている。また、糖尿病モデルマウスを用いた水素分子の効果の解析により、水素分子を摂取することによって肝臓で脂肪酸代謝経路とPPARシグナル経路の遺伝子群の発現が増加することが明らかとなった。その遺伝子群の中には、一過的に増加する遺伝子もあれば、徐々に増加していく遺伝子もあった。現在は、これら遺伝子群の水素の効果における役割を解析するとともに発現誘導メカニズムを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病モデルマウスを用いた水素分子の効果の解析により、水素分子を摂取することによって肝臓で脂肪酸代謝経路とPPARシグナル経路の遺伝子群の発現が増加することが明らかとなった。この結果については現在論文執筆中であり、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
膵臓、及び、肝臓でroGFPを発現しているトランスジェニックマウスのラインを用いて糖尿病モデルマウスとの掛け合わせを行っていく。また、水素分子により発現誘導がかかる遺伝子群について、これら遺伝子群の水素の効果における役割を解析するとともに発現誘導メカニズムを解析していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は、当初より予定していた消耗品費(実験動物500千円、研究試薬200千円、プラスチック器具140千円)に加え、平成24年度からの繰越分100千円を研究試薬購入費に充当することとする。旅費、謝金等その他の使用計画は変更なし。
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