本研究はビタミンE代謝物であるCEHCの新規機能性を見出す事、特に脂肪細胞の炎症が様々な生活習慣病のトリガーになるといわれていることから、その抗炎症効果に焦点をおいて研究を進めることとした。まずは、脂肪細胞が炎症誘導した状態のモデル細胞を確立することからスタートした。マウス繊維芽細胞である3T3-L1細胞を成熟脂肪細胞へ分化させた後、マウス単球細胞であるWEHI-274.1細胞と共培養をすることで、脂肪細胞中で単球がマクロファージ化することで炎症誘導された脂肪細胞のモデルの確立を様々な面から試みたが、結果的には安定に炎症誘導することができなかったため、マウス由来のマクロファージ細胞であるRAW264.7細胞に変えて検討を続けた。その結果、3T3-L1細胞の分化誘導期間を2週間とし、その後RAW264.7細胞にて12時間共培養する事で、炎症性サイトカインであるIL-1β及びIL-6、及びケモカインであるMCP-1のmRNAの発現が有意に上昇したことが確認できたので、炎症誘導した脂肪細胞のモデルを確立することができたと判断した。そこで、このモデル細胞を用いて、まずはビタミンE同族体の抗炎症効果について検討したところ、残念ながら炎症を抑制することができなかった。従って、平成25年度に予定していたin vivoでの動物実験には進むことができなかった。しかし、本研究での重要性の1つである、炎症誘導脂肪細胞の確立(特にIL-β及びIL-6を誘導する)ができたことから、ビタミンEに代わる食品成分として、アロエ抽出物についてこのモデル細胞を用いて検討した。その結果、キダチアロエのエタノール抽出物にIL-βのmRNA発現を有意に抑制する働きがあることを見出した。以上の結果より、ビタミンEの抗炎症効果は見いだせなかったが、食品成分の1つとしてアロエ抽出物に抗炎症効果がある可能性を示唆した。
|