研究課題/領域番号 |
23500973
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
犬尾 千聡 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (30586780)
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研究分担者 |
宇理須 厚雄 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20193972)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アレルギー / 食物 / 低アレルゲン / 加工食品 |
研究概要 |
牛乳特異的IgE高値(10 UA/mL以上)あるいは、明らかに牛乳による症状誘発の既往があるアレルギー患者5名(3歳から9歳:全て男児)に対して、まず牛乳摂取可能量(閾値)を食物負荷試験(オープン法)で評価した。すべての症例で症状が誘発された。誘発された時の牛乳負荷摂取量を閾値とした(0.05ml-30ml)。その5名に対して、ペプチドミルク(森永乳業 E赤ちゃん)を用いた食物負荷試験(オープン法)を施行した。牛乳の摂取可能閾値に比べ、ペプチドミルクの摂取可能閾値は3倍から150倍量以上であった。摂取可能であったペプチドミルク量を連日同量自宅にて摂取を続けた。一部患者では摂取可能量を2-3週間毎に徐々に増量した。継続摂取中、1例で軽度の蕁麻疹が出現したが、呼吸症状などの重篤なアレルギー症状は誘発されなかった。3例で治療後の牛乳の摂取可能閾値を負荷試験をおこない評価し、2-20倍の摂取可能量の増加を認めた。免疫学的な反応の変化を検討するために、牛乳特異的IgE(3例)、カゼイン特異的IgG4(2例) 末梢血の好塩基球の反応(2例)を摂取開始前、摂取開始後で測定した。牛乳特異的IgEは2例で軽度上昇し、1例で低下した。これまで報告されている牛乳そのものを摂取し続ける経口免疫療法に比べると上昇率は低かった。カゼイン特異的IgG4は1例で上昇し、1例で低下した。末梢血好塩基球は治療前後で用意した希釈系列すべても強い反応を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際の患者でペプチドミルクが牛乳に比べて遥に多量の摂取が可能であることがわかった。自宅で継続する問題点、ペプチドミルクの供給必要量を確認した。低アレルゲンミルクを摂取することでの副作用がほとんどなく、安全に治療が行えることを5例で確認できた。年少者での摂取継続も可能であることがわかったため、適応年齢を1,2歳からとして、研究を行うこととした。免疫学的にも牛乳特異的IgEの上昇が軽度であり、特に年少例で遮断抗体とされるカゼイン特異的IgG4の上昇が確認できたことより、アレルギーを悪化させることなく、安全に寛解に導くという手応えが得られた。好塩基球の活性化を表面マーカーであるCD203c,CD63で確認しようとしたが、設定した希釈系列で全て反応したため、更に希釈系列を増やして検査を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度より、ペプチドミルクと加水分解乳でのダブルブラインドのプラセボ・コントロールスタディをおこなうこととした。プラセボを大豆乳から加水分解乳(MA-mi)に変更したのは、ブラインド化した食品を一括して森永乳業に委託することにしたためである。
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次年度の研究費の使用計画 |
情報収集のための、アレルギー関連の学会出張、森永乳業との打ち合わせのための旅費 100,000円。好塩基球の活性化を評価するためにCD203c測定キット;1キット100,000円として、6キット、600,000円。特異的IgE、特異的IgG、IgG4、IgA<カゼイン,αラクトアルブミン,βラクトグロブリン>(外注); 400,000円。
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