【研究成果】 <患者血液を使ったペプチドミルクの安全性の評価>極少量でアレルギー症状が誘発される重症牛乳アレルギー患児末梢血を用いて、スキムミルク、ペプチドミルク10μg/mLに対する好塩基球活性化を測定した。ペプチドミルクの方がアレルゲンに対する末梢血好塩基球活性化が低下していることを確認した。 <ペプチドミルクの安全性の確認>まず、アレルギー患者5名に対して、牛乳とペプチドミルクの摂取量を食物負荷試験(オープン法)で評価した。牛乳の摂取可能閾値に比べ、ペプチドミルクの摂取可能閾値は多かった。次に、重症のミルクアレルギー児10名に対して、普通ミルク、ペプチドミルク、加水分解ミルクを用いて、二重盲検食物負荷試験を施行した。普通ミルクよりペプチドミルクの方が摂取可能量安全積算量は多かった。 <ペプチドミルク免疫療法>ペプチドミルクを連日摂取する低アレルゲンペプチドミルク免疫療法を6例に施行し、4例で摂取可能量が増加した。連日の摂取でも治療中に全施行中1回咳嗽を認めただけであり、安全に摂取量が増加することを確認した。 【研究の意義】牛乳アレルギーは、近年、原因食物そのものを積極的に摂取して、寛解を獲得する免疫療法の有用性が数多く報告されてきた。これまで、対応がなかった食物アレルギー患者にとっては、非常に有益な治療法であるが、原因アレルゲン自体を経口摂取するため、経口免疫治療中は皮膚症状、消化器症状、呼吸症状が頻繁に誘発される。本研究ではペプチドミルクを用いることで、アレルゲン摂取症状誘発がほとんどなく、安全積算量の増加することができたため、新たなる食物アレルギーに対する安全に治癒を誘導できる治療として確立できる可能性がある。
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