研究課題/領域番号 |
23500975
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
三宅 義明 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20369581)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | カンキツ / ストレス |
研究概要 |
香酸カンキツ果実のストレス緩和作用に関する研究を進めるにあたり、香酸カンキツに含まれるストレス緩和作用などに関わる機能性成分の検索を行った。ユーレカレモン、マイヤーレモン、ユズ、スダチ、カボス、温州ミカン、ネーブルオレンジを実験材料とし、機能性成分であるフラボノイド、フェニルプロパノイド、クマリンの果汁、果皮含量を高速クロマトグラフィーにより分析し、特徴成分を調べた。ユーレカレモン、マイヤーレモン、温州みかんについては低熟度で香酸度が高い果実についても調べた。結果として、香酸カンキツのマイヤーレモンは、独自のフラボノイド組成(ヘスペリジンが主成分)とクマリン組成(5、7-ジメトキシクマリンが低熟度果実に多い)であることを明らかし、その研究成果を日本食品科学工学会で発表し、日本食品科学工学会誌に論文投稿した。 また、ストレス緩和作用の研究を進めるにあたり、ストレス評価の適正な実験条件の確立を検討した。ストレスの評価指標として、唾液クロモグラニンA含量の測定、POMS調査、心拍変動による交感神経と副交感神経の自律神経バランスの測定を検討した。また、ストレス変化は平常状態を測定し、クレペリン試験による作業負荷や運動負荷(階段昇降、エルゴメーター)した場合のストレス負荷の影響を検討した。さらに、ストレス緩和作用として、カンキツの香り(シトラスフレーバー)や清涼飲料(スポーツドリンク)摂取の影響を検討した。結果として、平常状態やストレス負荷状態によるストレス緩和評価実験系として、自律神経バランス変動の測定が同実験に使用可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
香酸カンキツに含まれる機能性成分を検索したところ、マイヤーレモンが独自のフラボノイドとクマリンの組成であることを明らかし、その研究成果を学会発表し、学会誌に論文投稿した。これをストレス緩和作用の実験で追究する香酸カンキツ果汁の一候補とした。また、ストレス緩和作用の研究を進めるにあたり、ストレス評価に適した実験条件を検討したところ、心拍変動による交感神経と副交感神経の自律神経バランス測定を追究していくことにした。
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今後の研究の推進方策 |
香酸カンキツ果実のストレス緩和作用に関する研究を進めるにあたり、香酸カンキツ果実に含まれる特徴的な機能性成分の検索を継続し、進める。また、ストレス緩和の評価実験の諸条件を検討して適正な実験条件を確立し、特徴的な機能性成分を含有する香酸カンキツ果汁のストレス緩和作用を調べることを目標とする。地域特産物の香酸カンキツ果実の菊池レモン、ユウコウ、ゲンコウ、サンボウカンなどを入手し、機能性成分のフラボノイド、フェニルプロパノイド、クマリンなどを高速液体クロマトグラフィーで分析し、特徴成分を追究していく。特徴成分が見出された場合は、成分を単離し、機器分析により同定する。この成分の香酸カンキツの果汁含量と、果汁含量に影響を与える果皮含量を調べる。香酸度が高い低熟度果実についても同様に検討する。 ストレス緩和の評価実験では、自律神経バランスを平常心拍変動と起立性心拍変動から測定し、また、血圧変動や経皮的動脈血酸素飽和度からも適正な実験系を検討する。また、唾液アミラーゼ活性測定や、唾液中のクロモグラニンA、コルチゾール、IgAの定量を行い、唾液ストレスマーカーによるストレス緩和評価の可能性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
香酸カンキツに含まれる機能性成分の追究のため、抽出試薬、高速液体クロマトグラフィーに関わるカラムや溶媒、実験器具などを購入する予定である。ストレス緩和実験では、被験者が連続試験するために自律神経測定機器の部品を追加購入して対応し、唾液ストレスマーカーのクロモグラニンA、コルチゾール、IgAの定量実験や、唾液アミラーゼ活性の測定実験に関わる実験器具、試薬の購入を予定している。 23年度と24年度途中の研究成果を日本食品科学工学会(8月下旬)にて口頭発表し、論文投稿する予定であり、学会参加旅費、論文投稿費、英語論文校正費の使用を予定している。
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