研究課題/領域番号 |
23500975
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
三宅 義明 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20369581)
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キーワード | カンキツ / ストレス |
研究概要 |
香酸カンキツ果実のストレス緩和作用に関する研究を進めるにあたり、昨年度に引き続き、香酸カンキツに含まれるストレス緩和作用などに関わる機能性成分の検索を行った。今年度は、これまでに報告が無い小笠原・島レモンに着目し、低熟度と高熟度の各果実の構造部位(フラベド、アルベド、ジョウノウ膜、砂じょう)に分け、機能性成分(フラボノイド、フェニルプロパノイド、クマリン)の含量を高速クロマトグラフィーにより分析し、他カンキツ果実との比較から特徴を調べた。小笠原・島レモンは、マイヤーレモンと機能性成分の含有組成が類似しており、7-メトキシ-5-プレニロキシクマリンが比較的高含有であった。さらに、新規物質の4-ヒドロキシ桂皮酸誘導体を単離同定した。同物質は体内の酸化ストレス低減に関わる抗酸化性、ラジカル捕捉活性を有していた。 地域特産物の香酸カンキツ果実(各種レモン、ユズ、スダチ、カボス、ユウコウ、ゲンコウ、新姫など)を入手し、果汁と果実粉末を調製し、酸化ストレスの抑制に関わる抗酸化活性、ラジカル捕捉活性を調べた。ユーレカレモン、スダチ、新姫に高い活性が認められ、抗酸化性フラボノイドの含有量との関連性が示された。 香酸カンキツ果汁のストレス緩和作用の評価として、指尖心拍変動による交感神経活動と副交感神経活動の自律神経バランスの測定を検討し、運動負荷時に果汁飲料摂取による身体ストレス、精神ストレスの変動を調べた。被験者にエルゴメーターにて中強度の運動を負荷し、運動中にレモン飲料を摂取し、運動前、運動直後、休憩後に自律神経バランスを測定した。自律神経バランスの変動からストレス度を評価する実験条件を設定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体内酸化ストレスの低減に関わる抗酸化活性、ラジカル捕捉活性の高い香酸カンキツ果実を評価し、高活性の果実を選定することができた。 運動負荷のストレスを被験者に与え、運動時に香酸カンキツ果汁飲料をを摂取し、身体的、精神的ストレスの変動を評価する実験条件を設定することができた。 香酸カンキツ果実に含まれる機能性成分の検索から、これまでに報告されていない小笠原・島レモンから機能性成分の特徴を明らかにすることができた。また、新規物質の4-ヒドロキシ桂皮酸誘導体を単離同定し、同物質は酸化ストレスの低減に関わる抗酸化活性を有していることが分かった。この研究結果を、学会発表、論文掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
運動負荷時における香酸カンキツ果汁飲料摂取による自律神経バランスの変動を調べ、ストレス緩和作用を評価していく。高い抗酸化活性を有していたユーレカレモン果汁の評価を行っていく。 香酸カンキツ果実の抗酸化活性の評価から、高活性であり、これまでに機能性成分の報告が少ない新姫(三重・紀南地域特産)を実験材料として機能性成分を検索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラジカル捕捉活性や抗酸化活性などの機能性を測定するため、微量測定が可能な分光光度計を購入する予定である。 実験に関わる試薬、ガラス器具、チューブなどの消耗品を購入していく。 研究成果の学会発表や論文投稿にあたり、出張旅費、論文投稿費などを予定している。
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