研究概要 |
香酸カンキツ果汁のストレス緩和作用の追究にあたり、レモン類、ユズ、スダチ、カボス、シークヮーサーなどの地域特産の香酸カンキツに含有する生理機能性成分の特徴を調べた。各果実は果皮(フラベド、アルベド、ジョウノウ膜)、果肉、種の構造部位について、抗酸化作用や酸化ストレスの低減作用等が報告されているフラボノイド、フェニルプロパノイド、クマリンの含有特徴を調べた。マイヤーレモンは、他の果実と比較して5,7-ジメトキシクマリン、7-メトキシ-5-プレニロキシクマリンを果皮のフラベドに特徴的に含有し、果皮から新規抗酸化物質の4-ヒドロキシケイ皮酸誘導体を見しだした。機能性成分に関する報告がない小笠原・島レモンについては、未熟・成熟果実の分析からマイヤーレモンと類似したフラボノイド、フェニルプロパノイド、クマリン組成をしていた。また、各香酸カンキツの抗酸化活性は、レモン、スダチ、新姫が比較的高かった。新姫から新規抗酸化成分のフェルラ酸誘導体を見出した。 香酸カンキツ果汁のストレス緩和作用を追究するため、ヒトへのストレス負荷の適性条件とストレス度測定の方法を検討した。ストレス負荷として、クレペリン計算による作業負荷、階段昇降とエルゴメーターによる運動負荷を検討し、ストレス度測定として、唾液中クロモグラニンA量等の変動、気分プロフィール検査(POMS)、心拍変動の測定を検討した。そして、エルゴメーターによる持続運動負荷中に各種レモン飲料を摂取し、運動前、運動直後、運動後の休憩時の指尖心拍変動、自律神経活動を測定することにより、ストレス変動を調べる試験を行った。その結果、運動中にレモン果実粉末含有の飲料を摂取した場合に、運動後の休憩時に自律神経の副交感神経活動が活発になることが見られ、ストレス緩和作用が示された。レモン果実に含まれるフラボノイドのヘスペリジンや香気成分の影響が示唆された。
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