研究課題/領域番号 |
23500977
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
米浪 直子 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (70291979)
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研究分担者 |
若村 智子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40240452)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 生活習慣 / 生体リズム / 体温 / 唾液バイオマーカー / 味覚 / エネルギー代謝 / 朝食 / 食習慣 |
研究概要 |
朝食欠食を含めた不規則な食習慣による生体への影響について、食事調査、味覚感受性、唾液バイオマーカーにより評価し、以下の成果が得られた。(1)女子大学生を対象とし、朝食を毎日摂取する習慣のあるグループとないグループに分け、唾液中コルチゾールおよび分泌型免疫グロブリンA(sIgA)の日内リズムについて検討した。朝食欠食習慣はsIgA分泌速度には影響は見られず、朝食摂食群と朝食欠食群ともに同様の日内リズムが認められた。一方、コルチゾール分泌速度は、朝食摂食群では起床時に高値を示す典型的な日内リズムが見られたが、朝食欠食群では朝食摂食群に比べて起床時の値が有意に低く、同様の日内リズムは見られなかったため、朝食欠食習慣はsIgAにまで影響する可能性は低いが、コルチゾール分泌の日内リズムを乱す可能性が示唆された。(2)女子大学生を対象とし、1日6回の甘味・酸味・塩味の味覚・嗜好検査を行って、朝食摂取及び欠食習慣が、味覚感受性・嗜好性に及ぼす影響を検討した。3基本味における味覚感受性は朝食摂食群の方が高く、特に甘味感受性においては午前から夜にかけて感受性が低くなる日内変動があることが示唆された。また、甘味嗜好性においては、欠食群が濃い味を好むことが示唆された。(3)朝食の習慣は生活リズムが影響していることが多いため、大学生男女478名を対象とし、朝型夜型タイプの生活習慣と朝食の摂取状況および食欲、1日の栄養素と食品摂取量との関連について調査を行った。大学生の男女ともに、朝型夜型タイプの生活習慣と朝食の摂取頻度および食欲、1日の栄養素と食品摂取量に関連が認められた。(4)大学生の生活習慣と健康状態について、便秘に焦点をあて検討した。便秘評価尺度(CAS)の高得点男子の特徴は、エネルギー摂取が低い、活力が低い、就寝・起床時刻が遅い、睡眠時間の変動が大きいという4点が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、唾液バイオマーカー、気分プロフィール検査(POMS)の観点から、朝食欠食や不規則な食事時間がストレス反応や疲労度の増加を生じるのか客観的に調べることを目的とした。さらに、朝食欠食は生活リズムの乱れまたは夜型や朝型などの生活パターンに起因することも考えられるため、深部体温、味の嗜好性、食欲との関連について横断的観察研究および介入研究を行って明らかにすることを目的とした。n数がまだ少ないが計画通り調査研究を行うことができた。また、食習慣と日内リズムとの関連については、Morningness-Eveningness Questionnaire (MEQ)得点から検討し、研究成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、23年度同様に行い、n数を増やしてデータの再現性およびデータの分布を確認して再び統計解析を行う。実施計画としては、大学生を対象とし、(1)半定量食物摂取頻度調査(FFQg)、生活時間調査、気分プロフィール検査(POMS)、味覚検査を実施する。(2) 唾液を採取して、唾液分泌型免疫グロブリンA、コルチゾールなどの唾液バイオマーカーの分析を行う。(3) それぞれの調査結果と唾液バイオマーカーとの関連性を調べる。(4)朝食摂食習慣のある者を対象に、朝食を通常通り摂取する1 日(朝食摂食条件A)と、3 日間連続して朝食を抜いた最終日(朝食欠食条件A)を実験日とし、介入試験を行う。(5)朝食欠食習慣のある者を対象に、朝食を通常通り欠食する1日(朝食欠食条件B)と、朝食を1週間連続して摂取した最終日(朝食摂取条件B)を実験日とし、介入試験を行う。(6)食事量および食事組成がエネルギー代謝と熱放散反応に及ぼす影響について検討する。(7)食事条件を標準食(CON)、高たんぱく質食(HP)、高脂質食(HF)の3条件とし、酸素消費量、呼吸商、発生熱量、心拍数、鼓膜温、腋窩温、皮膚温の測定を行う。(8)高脂質食で吸収経路の違う中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸摂取後の熱産生、深部体温への影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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