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2012 年度 実施状況報告書

アルツハイマー型認知症予防のための新規食品成分検索とその細胞内作用機構の検証

研究課題

研究課題/領域番号 23500985
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

土井 裕司  武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (50106267)

キーワードアルツハイマー型認知症
研究概要

アルツハイマー型認知症予防のための新規食品成分検索とその細胞内作用機構の検証という研究課題で本研究はスタートした。すなわち、本研究課題は「新規食品成分の検索」と「細胞内作用機構への影響検証」という2つの事項を含んでいることから、それぞれの事項を同時並行的に進めている。
アルツハイマー型認知症発症のメカニズムの一つとしてコリン作動性神経の劣化がある。そこで本研究では予防のための食品成分としてアセチルコリンエステラーゼ阻害物質を想定して、食品素材からの当該物質の精製を検討している。具体的には「紅タデからのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質の検索」を進めており、2012年10月日本栄養・食糧学会近畿支部大会において研究進展状況を報告した。
また、細胞内作用機構を検証するためには、あらかじめ劣化した細胞の状況を把握しておく必要があることから、脂質過酸化物で劣化させた神経モデル細胞であるPC12細胞の細胞膜酸化・微小管形成・生育生存を把握することに努め、細胞内抗酸化系酵素の活性を検討した。この研究進展状況については、International Journal of Molecular ScienceにMicrotubule formation and activities of antioxidative enzymes in PC12 cells exposed to phosphatidylcholine hydroperoxidesという題目で投稿し、採択され掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年提出した今後の研究推進方策では、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤の精製とそれから進んで当該阻害物質の構造解析があった。そこで、前者については昨年秋の日本栄養・食糧学会近畿支部大会において「紅タデからのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質の検索」の演題のもと、HPLC的に精製が可能なピークを見出した。構造解析についてはTOF-MSで試みる予定である。
また、脂質過酸化物による細胞劣化がアルツハイマー型認知症を招いているという著者の発症メカニズム仮説に対しての発症予防のための食品成分として各種抗酸化物質・抗酸化性ビタミン(エピカテキン、アスタキサンチン、カフェ酸、ケルセチン、サポニン、アスコルビン酸、βーカロテン、α-トコフェロール)の細胞膜酸化、生細胞数、微小管形成への効果を検討した。その成果については現在論文として報告するべく準備中である。
以上、アセチルコリンエステラーゼ阻害物質の精製が進行していること、各種抗酸化剤の脂質過酸化物で劣化した細胞への効果が検討できていることを考慮して、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

実績状況欄で述べたように本研究課題は2つの事項を含んでいるので、今後もそれら2つの事項に対応して、研究を推進しようと考えている。
1つはアセチルコリンエステラーゼ阻害物質の精製から構造解析・酵素化学的諸性質の解明に至るものである。精製については昨年までの研究でほぼ進んだものと考えており、現在構造解析のためのMS分析の学習に取り組んでいる。本学にはLC-MSやTOF-MSが設置されているが専任のそれら装置を運転操作するものがいないので、筆者ら自ら装置を動かさなければならず、現在その運転を学習中である。操作法等について修得したのちは、実際に当該物質の解析にあたる予定である。さらに、当該物質の酵素化学的研究に取り組みたい。
また、もうひとつの事項である劣化細胞の把握については長寿遺伝子サーチュイン1関連酵素活性を検討することとしたい。筆者はアルツハイマー型認知症を細胞骨格の崩壊と仮説を立て検討を進めてきている。したがって、これまでは微小管形成など細胞骨格そのものを観察してきたが、そこから更に進んで細胞骨格崩壊に至る背景を検討することを計画したい。その一つとして今回長寿遺伝子を採りあげることを計画している。

次年度の研究費の使用計画

現在、昨年までの研究成果を研究論文として発表するための準備をしている。したがって、英文校正から始まって投稿・掲載に至るまでの諸費用の使用を予定したい。
また、上記研究推進のための諸費用についても本研究費からの使用を予定したい。
研究内容(実験概要)は、物質のカラムクロマトグラフィーによる精製、精製物質の構造解析、酵素化学、ならびに細胞培養、遺伝子関連酵素活性測定であることから、それらに付随した器具類や試薬類の購入費用の支出が予定される。構造解析については、さまざまな方法を組み合わせて初めて成就するものである。本学には設置されていない設備で行うときにはその依頼のための費用の支出が必然生じる。これも考慮に入れておく必要がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Microtubule formation and activiteis of antioxidative enzymes in PC12 cells exposed to phosphatidylcholine hydroperoxides2012

    • 著者名/発表者名
      Yukako Yamanaka, Shumi Yoshida-Yamamoto, and Hiroshi Doi
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 13 ページ: 15510-15522

    • DOI

      10.3390

    • 査読あり
  • [学会発表] リン脂質過酸化物により劣化した分化PC12細胞への各種抗酸化剤の効果

    • 著者名/発表者名
      山中裕佳子、橋本沙織、向瀬きなみ、酒井芙弥子、川口真規子、土井裕司
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会第51回近畿支部大会
    • 発表場所
      甲子園大学
  • [学会発表] 紅タデからのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質の検索

    • 著者名/発表者名
      酒井芙弥子、阪口亜貴、山中裕佳子、宮崎由子、土井裕司
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会第51回近畿支部大会
    • 発表場所
      甲子園大学

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公開日: 2014-07-24  

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