研究概要 |
本研究では,日々食する主食食材中の天然AhR活性成分について明らかにし,それらの大腸がん発症予防効果について考察するとともに,主食を軸とする食生活の健康維持における重要性,さらに食育のエビデンスへと展開するための研究基盤の確立を目指している.23年度は5種の穀類および13種の野菜類についてエタノールエキスを調製し,レポータージーンアッセイを指標にAhR活性を評価した結果,数種のエキスに活性が認められ,そのうち,米,ブロッコリーの活性成分の精査を実施し,活性エキス画分を明らかにした.24年度はブロッコリーの活性画分について,各種カラムクロマトグラフィーを実施し,活性画分1から11種の化合物(adenosine,uridine,neoascorbigen,1-sinapoylglucose,1,2-disinapoylgentiobiose, 1-sinapoyl-2-feruloylgentiobiose,1,2,2’-trisinapoylgentiobiose,1,2’-disinapoyl-2-feruloylgentiobiose),活性画分2から3種の化合物(phenylalanine,guanosine,neoglucobrassicin)を単離,同定した.得られた各化合物についてAhR活性を評価したところ,neoascorbigenやsinapoyl配糖体に顕著なAhR活性が認められた.これらは天然AhRリガンドとしてはじめての報告であり,特にsinapoylgentiobioseのような二糖類での極めて稀な例を明らかにすることができた.米由来の活性画分について,さらに活性成分の精査を進めている.
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