研究課題/領域番号 |
23500993
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
石原 淳子 相模女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30415509)
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研究分担者 |
井上 真奈美 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70250248)
高地 リベカ 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60413085)
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キーワード | 食事評価 / 料理単位法 / データベース構築 / 標準化 / 栄養疫学 |
研究概要 |
食事摂取量の把握は、公衆衛生施策から疾病予防研究に至る様々な分野において重要であるが、その正確な測定は容易ではない。本研究では、より精度の高い食事摂取量測定システムの開発に向け、日本人集団における料理単位栄養素成分データベース(料理データベース:使われた食品名と重量を料理の種類毎に整理したデータベース)を構築することを目的に実施した。本年度は、当初研究実施計画にあげられている以下3点について、データベースの整理、解析、および構築方法と利用に関する情報収集を行った。 1.国内における食事記録調査データを用いた料理データベースの収集、整理に関して、23年度にデータベース化を行った国立がん研究センターにおける2つの研究、すなわち1)多目的コホート研究の頻度法妥当性研究において収集した約570 人の食事記録、及び、2)国立がん研究センターがん予防・検診研究センター受診者における頻度法妥当性研究において収集した約150 名に加え、既存データとして他研究機関より提供を受けた愛知県と岩手県住民の食事記録調査データ、茨城県より提供を受けた県民栄養調査データの料理毎食品構成を整理し、データベースを作成した。 2.1のデータベースを用いて、各料理の頻度などの基本分布情報の解析を行った。また、1食あたり料理の大きさについて検討を行った。料理データベースを開発対象地域と異なる集団へ応用した際の外的妥当性の検討に関しては、昨年度から引き続いて検討し論文化した。 3.海外における料理データベースの実務的な実施状況に関する情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、前年度データベース化を行った国立がん研究センターの2つ既存研究における食事記録データ、すなわち1)多目的コホート研究の頻度法妥当性研究において収集した約570 人分、及び、2)国立がん研究センターがん予防・検診研究センター受診者における頻度法妥当性研究において収集した約150 名分に加え、既存データとして他研究機関より提供を受けた名古屋市近郊住民1,071名および岩手県一関市住民287名の食事記録調査データを用いた料理毎の食品構成データベースの解析を行った。解析の内容は料理の頻度などの基本分布情報(出現頻度や種類数)、および1食あたり料理の大きさについての検討などである。また、前年度電子化を行った茨城県県民栄養調査のデータは、データクリーニングを行い、今後の解析に加えていく予定である。さらに前年度から検討を行ってきた、料理データベースを開発対象地域と異なる集団へ応用した際の外的妥当性に関しては論文化された。加えて、より多様な対象集団からのデータによりデータベースの拡充に向けて、新たな食事記録データの収集も計画し、一部実施した。 上記のデータベース基本情報の検討に関しては、ローマにて行われた国際食事評価会議において発表を行ったが、その際、同様のデータベース構築を研究として行っている欧米および韓国での具体的実施例の情報収集、研究者との情報交換を行い、はずれ値の扱いや代表値の決定方法等、海外での料理データベースの構築方法と利用に関して、実務的な実施状況に関する情報を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、料理出現頻度の性・年齢・地域分布、ポーションサイズに関する検討などを行い、さらに解析を進める。前年度開始した食事調査データ収集に関しては継続してデータベース化することを目指す。また、前年度に収集した海外でのデータベース構築・利用に関する情報を生かして、データベースを疫学研究に応用可能とする方策を模索する。具体的には、1)各料理の代表値の決定、2)はずれ値の取り扱い、3)利用インターフェイスの検討、などを行うことにより、日本人の標準的な料理別栄養素成分データベースとして、公衆衛生施策や疾病予防研究への応用を可能とする。また、一連のデータベース構築方法の公開方法に関しても、検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究費は、主に人件費、旅費、物品費などの使途で使用する計画である。新たな食事調査データに、料理コードを付与し、データベース化することには、栄養士など特殊な技術を持った人材を複数名雇用し、作業を依頼する必要がある。物品としては、PC周辺機器消耗品などの購入を予定している。最終年であるため、論文の投稿費、英文校正費など、その他の使途も想定している。
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