研究課題/領域番号 |
23500995
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
菅原 正義 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (30259840)
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キーワード | 湿熱処理 / 高アミロース米 / 難消化性デンプン |
研究概要 |
夢十色、新潟79号、北陸207号の高アミロース米3品種の中から、アミロース含量、炊飯時の糊化度、糊化後の老化速度、食物繊維含量、in vitro 消化速度試験、炊飯米の食味、物性試験の結果から白米での吸水率が低く、炊飯後の糊化度が低い北陸207号を選定した。 昨年度、湿熱処理精白米の生理的機能性は確認できたが、より機能性を高める目的で北陸207号玄米に湿熱処理を行い、処理後精米を行った。玄米の湿熱処理により、米中のフォリン-チオカルト法で測定したポリフェノール含量の増加、抗酸化能の増加など、糊粉層中成分の胚乳部への移行や難消化性デンプンの増加が確認された。 5週齢Wistar系雄ラットにAIN-76飼料を1日2時間自由量投与、それ以外の時間は絶食させ、1日に必要な飼料を短時間に摂取するように10日間馴化飼育した後、AIN-76飼料のコーンスターチを各米飼料で置換して5日間(非投与期)、その後、この飼料に止瀉作用のあるロペラミド(体重1kgあたり6mg/日)添加した便秘誘発飼料を5日間投与(投与期)した。各投与期間中は毎日採糞し、最終日にカルミン色素をマーカーとして用いて消化管通過時間を調べた。その結果、玄米状態で湿熱処理をした北陸207号は、対照のコシヒカリ、未処理北陸207号、精米に湿熱処理した北陸207号と比較して、糞重量、糞中デンプン含量、糞個数、消化管通過時間が、ロペラミド非投与期・投与期共に有意差が認められた。これらの結果から高アミロース米北陸207号はコシヒカリに較べて消化管通過時間が短く、玄米状態で湿熱処理するとさらに短縮されることが示唆され、腸内環境改善に有効な加工方法であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度はやや遅れ気味であったが、平成24年度の研究の順調な進展により、当初計画の進展に達した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の平成25年度は、本研究の実用化に向けて展示会などへの情報発信を行うと共に、研究の完成を目指してさらに研究を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度で確認した玄米状態での湿熱処理における、糊粉層からの物質移動の確認のため、分析用試薬・HPLCカラム等消耗品を購入する。また、生理的機能性確認のため動物実験を実施するため、ラットとその飼育資材を購入する。
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