湿熱処理は、デンプンの糊化に必要な水分より低水分条件下で加熱処理する方法で、デンプンの粒形態は変化しないで、物理・化学的性質や結晶性が変化することを特徴とする。高アミロース米は、米デンプン中のアミロース含量が高い品種で、粘りが少なく食味の点では劣るが、消化速度が遅く、食後血糖値上昇が穏やかな米で、糖尿病予防やメタボリック症候群予防の点で期待されている。 今回、この高アミロース米品種「越のかおり(旧名:北陸207号)」の玄米に湿熱処理を行った結果、処理後に精米した白米中の抗酸化活性上昇、ポリフェノール含量の増加、食物繊維含量の増加、消化時間の短縮が確認できた。 この湿熱処理玄米を炊飯・乾燥・粉砕し、Wistar系雄ラットに投与して、消化管通過時間、糞便重量等に及ぼす影響を検討した結果、未処理玄米に比較して、消化管通過時間が短縮、糞便重量が増加した。また、この湿熱処理玄米と未処理玄米を精米後、白米部分を炊飯・乾燥・粉砕し、Wistar系雄ラットに投与して、消化管通過時間、糞便重量等に及ぼす影響を検討した結果、玄米と同様に未処米に比較して、消化管通過時間が短縮、糞便重量が増加したが、その強度は玄米に比べて弱かった。 以上の結果から玄米への湿熱処理は、白米部分の難消化性が向上し消化管通過時間の短縮した以上に、糠成分に大きく影響したことが考えられ今後の課題で去る。 しかし、今回の研究により高アミロース玄米の湿熱処理により、消化管通過時間の著しい短縮が認められ、便秘改善などの機能性が期待できる。
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