研究課題/領域番号 |
23500999
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
梅垣 敬三 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 情報センター, センター長 (60191920)
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キーワード | ダイエット食品 / コレウス・フォルスコリ / 安全性評価 / 主要栄養素 / 肝薬物代謝酵素 |
研究概要 |
ダイエット素材のコレウス・フォルスコリエキスをジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトンにより4分画し、コレウス・フォルスコリエキス中の肝薬物代謝酵素 (特にシトクロームP450 (CYP)) 誘導成分をマウスのin vivo系で検索した。前年度の研究においてコレウス・フォルスコリエキスによるCYP誘導作用が高スターチ食条件で明確に検出できたことから、高スターチ食条件下で検討した。その結果、コレウス・フォルスコリエキス中のCYP誘導成分はエーテル画分に多く含まれ、酢酸エチル画分やアセトン画分ではその活性は低下し、残渣にはほとんど活性がなかった。以上より、コレウス・フォルスコリエキス中のCYP誘導成分はエーテル可溶で水に難溶の特性を有していると推定された。 コレウス・フォルスコリエキスと医薬品との相互作用について、相互作用の影響が重篤になる抗凝固薬ワルファリンで検討した。その結果、マウスへのコレウス・フォルスコリエキス投与は、それだけでは血液凝固パラメータにほとんど影響しなかった。しかしならが、ヒトがサプリメントから摂取しているコレウス・フォルスコリエキス量から投与量依存的にワルファリンの代謝酵素であるCYP2Cを誘導し、それを介してワルファリンの抗凝固作用を減弱させた。さらに、ヒトならびにマウスのミクロソームを用いたin vitro系で、コレウス・フォルスコリエキスはCYP2C酵素と直接相互作用することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コレウス・フォルスコリエキスはヒトでも肝CYP誘導を介して医薬品と相互作用する可能性をはじめて明らかにした。また、コレウス・フォルスコリエキス中の肝CYP誘導成分はエーテル可溶性の性質を有することを明確にすることができ、おおむね当初の目的が達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
コレウス・フォルスコリエキスをさらに分画し、誘導成分の検索を引き続き実施する。また、コレウス・フォルスコリエキス中にはcAMP濃度を上昇させるフォルスコリンが含まれていることから、その肝CYP誘導作用も併せて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度末に分析機器(HPLC)の不具合がありその修理を行ったが、請求書が届いていないことから、現時点では支払いができていない。その部分の支払いが次年度に持越しとなったが、それ以外についてはほぼ当初の予定通り行う。
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