研究課題/領域番号 |
23501004
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
田端 輝彦 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (80344745)
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研究分担者 |
山田 春樹 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (00092578)
中村 享史 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70303394)
中野 博之 弘前大学, 教育学部, 教授 (30400120)
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キーワード | 比と比例式 / 小学校算数と中学校数学の接続 |
研究概要 |
本研究では,倍の見方から割合,比と比例,比例式へと比例概念の形成過程とそこに至る比例的推論の役割と進展を分析することを意図している。 今年度は,東京都内国立大学附属中学校と宮城県内公立中学校において,比例式を中心とした実験授業とその分析を行っている。都内国立大学附属中学校の生徒は,昨年同附属小学校で算数の時間に比例式の解法を学習している生徒である。第6学年に比ならびに比例式を比例的推論の立場から学び,中学校1学年で文字を用いて形式的に比例式を操作できることを学び直している。一方の宮城県公立中学校では,比例式の学習はしているものの小学校算数と中学校数学との接続を意識した形では学習していない。 このため,この2つの授業分析をすることによって,本研究の意図する接続を意識する指導の在り方がまとめられると考えている。 比例式の文献研究等からわかった成果については,日本数学教育学会主催の第45回数学教育論文発表会にて発表済みである。ここでは,小学校算数の視点からの比例式と中学校数学からの比例式の差異を明らかにし,その指導の構想を述べている。さらには,比例的推論の進展がない児童が学力調査においてどのようにつまずくかを分析している。これらの構想に基づいて上に述べた実験授業が計画されたともいえる。また,比例式に関連した文献研究の成果の一部は,雑誌論文に掲載されている。 現在は,歴史研究の成果と詳細な授業研究の分析を継続して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画から考えると,1年前倒しで小学校算数と中学校数学の接続の視点からの研究授業が行われている。この意味では予定より進んでいるが,この授業分析は少し遅れていると考えている。 現在分析しているこれら実験授業の成果と課題をまとめ,さらに今年1年で,もう一度,都内国立大学の附属小学校(第6学年)と宮城県内の公立中学校(第1学年)で追実験となる実践を予定しており,これらと比較してさらに理論と実証の往還を含めて,小学校算数と中学校数学の接続を模索したい。これらがまとめられたとき,本研究の目的は達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように,昨年度行われた実験授業を詳細に分析することと同時に,細かな部分で昨年度できなかった実験授業を今年も計画している。 このため引き続き,東京都内の国立大学附属小学校の教員と宮城県内の公立小中学校教員に研究協力者となっていただき,さらに勉強会を実施し,今年の課題を明確にした上で,実験授業を計画している。 これらの成果と課題をまとめることによって,比例概念の形成過程から見た,小学校算数と中学校数学の接続を模索したいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記実験授業の計画のため,現場の先生方と定期的に研究打合せ会を実施するための旅費,さらにビデオ撮影・記録,写真,児童生徒のワークシートの記録の集積の機材の購入費に支出予定である。 一方で引き続き行う歴史研究や,小学校算数と中学校数学の接続を意図した研究授業や公開研究会からの情報収集を分担して行いたいと考えている。この場合も文献複写費や保存するための電子機器,さらには旅費を計上している。 さらには,この研究で得られた結果を学会発表することを目標としているため,学会参加費とその旅費に支出することを計画している。
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