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2012 年度 実施状況報告書

個別聞き取り調査に基盤を置いた協同学習型物理授業の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23501008
研究機関東京学芸大学

研究代表者

植松 晴子(小松晴子)  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70225572)

キーワード協同学習型授業 / 物理概念 / 個別聞き取り調査
研究概要

1協同学習形式の授業(チュートリアル)の改善
前年度に,メリーランド大学のレディッシュ教授らが開発した教材を用いてチュートリアル方式の授業を試行した結果に基づき,授業方法の改善を行った.具体的には,①日米カリキュラムの違いに配慮し,グループ学習に入る直前の講義の位置づけをより明らかにして,グループ学習への導入として有効なものにすること②日米の文化的背景の違いを考慮して,設問をより日本人にあったものに修正すること③グループでの議論の活性化を図るため,教員とTAの意識づけを強化し増員することなどである.授業前後に実施したFCIのゲインは,前年度の0.24から0.32に向上した.協同学習によって一時克服したかにみえた素朴概念が,与えられた設定の違いや時間の経過によってまた現れるという問題は,引き続き見られ,これからの課題である.
2 個別聞き取り調査および分析
授業中の協同学習の様子をビデオ撮影するとともに,授業後に学習者に対して個別聞き取り調査を行い,新しい方式の授業をどのように受け止めているか,グループでの議論は活発に行われているか,授業で意図されているものがどれだけ伝わっているか等について調査を行った.その結果,授業のやり方や意図は学習者に概ね受け入れられており,大多数のグループで議論は活発に行われていることが分かった.一方で,従来の授業方式を期待する学習者が違和感をもつことがあり,そのような学習者の意欲を喚起する方法に課題がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度試行したチュートリアル方式の授業によって明らかになった課題を改善し,学習者が物理概念を獲得することに対するこの方式の有効性が明らかにした.また,アメリカで開発されたこの授業方法を,文化やカリキュラムの異なる日本で適用するための方策に対して,いくつかの可能性が考えられるようになった.

今後の研究の推進方策

昨年度までに明らかになった課題に基づき,教材や授業方法を改善してチュートリアル方式の確立を目指す.また,各回授業の課題の中に学習者の振り返りを促す問を設け,獲得した物理概念の定着に対する効果を測る.
素朴概念が根強いことが分かってきたいくつかの概念に対して,聞き取り調査を行ってし思考過程をたどり,正しい概念獲得につながる教材開発を考える.聞き取り調査については,協力者の背景も考えてより妥当性の高いものを目指す.

次年度の研究費の使用計画

次年度に使用する研究費があるのは,研究打ち合わせを電子メール,インターネット通話などで行う機会が当初予定より多かったことによる.一方で,チュートリアル方式の授業でTAが果たすべき役割の重要性が再認識され,大幅な増員が必要であった.次年度の研究費は,主にTAや聞き取り調査の協力者に対する謝金と新規教材の開発に充てる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Tutorial at a Japanese university as an interactive physics class2013

    • 著者名/発表者名
      Haruko Uematsu
    • 学会等名
      the 12th Asia Pacific Physics Conference
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      20130714-20130719
  • [学会発表] チュートリアル方式による相互作用型授業の東学大での実践II

    • 著者名/発表者名
      植松晴子,新田英雄
    • 学会等名
      日本物理学会2012年秋季大会
    • 発表場所
      横浜国立大学(神奈川県)
  • [学会発表] 学生インタビューを通して見たチュートリアル方式の効果

    • 著者名/発表者名
      渡邉耕心,植松晴子
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学(広島県)

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公開日: 2014-07-24  

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