研究課題/領域番号 |
23501009
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
矢倉 公隆 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50166485)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ファストプランツ / 植物の教材 / 植物の観察・実験 / 植物の生活環 / 種子の発芽・生長条件 |
研究概要 |
今年度は、小学校におけるファストプランツ(FP)利用を主として、1)学校校現場における確実なFP栽培法の確立、2)小学校第5学年理科における、植物の発芽・成長・結実に関するFPを利用した授業実践と省察および、3)中学校へのFP導入の可能性についての検討開始の3点について実施する計画であった。1)に関しては、小学生レベルでもFP生活環(播種から種子採取まで)を容易に観察できる方法(栽培方法)を確立することである。そのために、学校現場で実施可能な条件を大学実験室内で検討を行い、学校現場での授業実践するべく計画中である。2)に関しては、植物種子発芽と成長の条件の実験・観察を、附属小学校の5学年において授業実践を行った。その結果、種子発芽に必要な条件を確かめる実験については、多くの教科書で扱われているインゲン種子の場合と実験結果は概ね変わらないが、FPを利用した場合に、実験結果の確認までの時間が大幅に短縮できることが明らかとなった。ただ、発芽に空気(酸素)が必要であるかを確認するために、学校現場で通常行われている種子を水に沈めるという方法をFPに適用した場合、発芽までの時間が長い種子と比べてFPの種子は水中溶存酸素による発芽が早期に起こるということから、この方法をとる場合の実験条件のさらなる検討が求められる。また、成長の条件を確かめる実験の授業実践も実施したが、寒い時期での栽培方法(保温管理、湿度管理等)の再検討の必要性が確認された。3)に関しては、中学校理科における植物を扱う単元で、FPを導入可能なものについて検討を行った。特に遺伝の法則を理解する上で、FPを用いた交配実験の有効性が考えられることより、学校現場の年間授業計画においてどのように授業を組み立てられるか、具体的に検討する必要性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記載した今年度の研究計画の1)から3)すべてにおいて引き続き検討すべき事項を残した。また授業実践を実施をしたが、学校の年間授業計画との関係で授業実践の回数があまり確保できなかったため、FPの教材としての有効性がまだ十分には確認されない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方法としては、基本的に今年度残した検討課題に引き続き取り組むとともに、本研究の申請時に計画していた以下の次年度実施計画事項を遂行する予定である。<平成24年度計画> 小学校においては、23年度に実施した事項 1)確実なFP栽培法の確立、および2)小学校第5学年における植物の発芽・成長・結実に関するFPを利用した授業実践と省察を踏まえ、必要に応じて当該年度においても繰り返す。また、小学校6学年で扱う、植物の養分と水分の通り道(でんぷんのでき方、水の通り道)に関するFP利用の可能性についても検討する。一方、23年度に中学校において実施予定であった事項3)に関しては、小学校からの連続性を考慮しつつ24年度から本格的に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する研究費を残しているが、それは、協力校における授業実践の回数が、当所予定していたものより少なかったことで予算執行額が減少したためである。今年度のこの残額と次年度配分予定の額を合わせて、実験器具、材料および学会出席等に使用する予定である。
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