研究課題/領域番号 |
23501017
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
桐山 聰 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (70423423)
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研究分担者 |
田畑 博敏 鳥取大学, 大学教育支援機構, 教授 (70128049)
後藤 和雄 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (00140533)
長尾 博暢 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (90454587)
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キーワード | プロジェクトマネジメント / 傾聴力 |
研究概要 |
本研究では、学士課程の学生が身につけるべき能力として評価・計画能力に着目し、システマティックな能力育成方法を実現するためのプロジェクトマネジメント手法の構築を目的とする。研究期間を通じて、①評価基準・教示方法の設計、②評価基準の共有、③評価演習、④演習結果の評価基準からの乖離度計測、⑤能力評価、⑥評価基準・教示方法の改良、というPDCAサイクルにより教育方法における暗黙知の部分の形式化を行っていく。「学生が傾聴力と読解力を駆使して対象を的確に評価するプロセス」、および「学生による計画立案から評価までのプロセス」のモデル化を行う。 平成24年度は、(1)評価能力育成のためのプロジェクトマネジメントツールのプロトタイプ試作、(2)計画能力育成のためのプロジェクトマネジメントツールのプロトタイプ試作、(3)研究会・学会での情報交換、を実施した。 二人一組の学生から成るチームを複数つくって、彼らに提示した問題を分析させ、複数のチームによる問題分析結果を共有することによって、新たな価値創造に繋がるモデル構築の見通し付けを行なうことができた。また、100人程度の中規模人数の授業において、評価基準と全員のレポートを受講生間で共有させる評価演習を試行した。これにより、学生による効果的なレポート相互評価方法の見通し付けを行うこともできた。 これらの成果は、平成24年度中に論文投稿をしている。また、以上の成果を踏まえて、平成25年度にプロジェクトマネジメント系新規授業2科目を開設することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、「学生による計画立案から評価までのプロセス」をモデル化し、学生集団の効果的な評価・計画能力の底上げ手法をプロジェクトマネジメントツールとして形式化することを狙いとしている。 平成24年度において、(1)評価能力育成のためのプロジェクトマネジメントツールのプロトタイプ試作、(2)計画能力育成のためのプロジェクトマネジメントツールのプロトタイプ試作を推進したことによって、学生による問題分析プロセスを深化させるための基礎データを得ることができた。 評価能力育成のためのプロジェクトマネジメントツールは、インターネット上のサービスの一つであるクラウド技術を活用することによって実現した。計画能力育成のためのプロジェクトマネジメントツールは、新たな価値を創造する可能性を有する新製品開発モデル(プロダクトモデル)の作成手法である。前者後者ともに、専門知識が乏しい学部学生に対して、具体的な知識ではなく、まず抽象的なモデルを理解させることを特徴としている。特に後者は、授業の受講生それぞれが実施した問題分析結果を全員で共有して、プロダクトモデルの構成要素を抽出するという、チームワークによるパフォーマンスを向上させる手法であるため、本研究の目指す成果と一致している。 さらに、上記の【研究実績の概要】に挙げている①~⑥のPDCAサイクルについて、平成24年度にも計画通り1サイクル回し、平成25年度の研究準備を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成25年度においては、研究方法として上記の【研究実績の概要】に挙げている①~⑥のPDCAサイクルを1サイクル回すとともに、平成24年度の研究結果を踏まえ、開発したプロジェクトマネジメントツール、特にグループワーク手法の有効性をさらに定量的に検証してゆく。本研究は暗黙知を形式化することを狙うものであるため、概念設計やモデル構築に力点を置いており、プロジェクトマネジメントとして既に知られている方法論と比較するとやや抽象度の高い内容である。そのため、成果の普及を念頭に置き、構築したモデルの具体的な事象・事例への適用についても検討を行う。 成果発信のために、国内外の学会において口頭発表を行うとともに、当該学会の論文誌に論文投稿を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は中国・大理大学で開催される予定であった国際学会Asian Conference on Engineering Education 2012(ACEE2012)における口頭発表のために旅費,大会参加費等を予算に組み入れていたが,大会が中止になったため,次年度使用額(B-A)398,762円が発生した.平成25年度は,当該発生費用を使って国際学会参加回数を増やす計画である. また,ものづくり教育を行なっている施設(全国の大学の工学部附属ものづくり系センター)等への調査出張、文献・書籍調査、ならびに研究成果発信のための論文投稿・国内の学会発表等を予定している。国際学会発表に対しては、平成25年度は4回の海外渡航を予定しており、英訳・英文校正費も計画に含まれる。また、プロジェクトマネジメントツール設計・製作に必要な試料・試供品の購入費、演習・作業の補助や資料作成補助に対する謝金等も予定している。
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