研究概要 |
平成23年度は,授業デザインの背景となる理論的研究と,小学校・中学校での授業開発研究およびその分析とを並行して行った。 まず,算数から数学への移行を意図した授業デザインを構成する上で,算数的活動を活かした授業づくりについて検討するとともに,授業構成の背景となる認識論についても吟味した。成果を次のものにまとめた。(「算数的活動を活かした授業づくり」, 中原忠男編, 新しい学びを拓く算数科授業の理論と実践(pp.63-75). ミネルヴァ書房. 2011; 「数学教育における認識論が実践,学習指導,研究方法論に与える影響について」, 日本数学教育学会,第44回数学教育論文発表会論文集, 21-30.) 次に,図形の包摂関係に関する授業実践の分析を行い,中学校数学に向けて子どもが論理的な推論を高めていく過程や様相を明らかにした。成果は国際会議の中で発表した。(Fifth graders' arguments fostered in the learning of inclusion relations between geometric figures, Proceedings of the 35th Conference of the International Group for the Psychology of Mathematics Education, 3, 281-288. 2011.) さらに,中学校教師の協力を得て,約1ヶ月に渡って,変化の割合の認識を高めるグラフの探究を視点として,中学2年の一次関数の全単元についての実験授業を,デザイン実験の手法に基づいて実施した。また,データの一部の分析を行った。
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