研究課題/領域番号 |
23501021
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
宮下 晃一 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90192765)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ものづくり / 中学校 / 技術科 / 3次元 / CAD / 加工 |
研究概要 |
本研究は中学校の技術科におけるものづくりの近代化と高度化・情報化を推進するために,3次元造形装置を中学校に試験的に設置し,それを活用した教育手法を開発し,教育的な価値を検証しようとするものである。そのために次の研究内容を実施する。(1)3次元造形装置を中学校の技術教室に試験的に設置する。(2)技術科教諭が3D-CADで設計し3次元造形装置で加工した教材を用いて,高精度な加工・組み立てを体験できる授業を開発する。(3)生徒が3D-CADの操作を習得する。(4)生徒が設計・加工・組み立てを学習できる授業を開発し授業実践する。(5)他校への展開を想定し,授業の手法や課題を明らかにする。 平成23年度は,まず3次元造形装置の試験的設置校の選定を行った。既に3D-CADの扱いを習熟しており,3次元造形装置の活用に関心のある技術科教員が所属する学校として西条市立東予東中学校を選び,3次元造形装置を試験的に設置した。 次に中学校教員による3次元造形装置の試験的利用を始めた。第1段階として,機構学習を行う上で必要な歯車やリンクなどの機構部品を主に鳴門教育大学で設計し,そのCADデータを用いた加工が3次元造形装置を用いて技術教室で行われている。加工の様子は技術科の授業において生徒たちに,また県下の教員研修において技術科教員たちに紹介された。 3次元造形装置の加工を視察した技術科教員の反応は良好であった。各学校への導入に関しても,PCを一斉に入れ替える際に3次元出力装置として予算要求できる可能性は十分にあるとの積極的な意見があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほとんど当初計画通りに実施できているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には,「情報に関する技術」分野の授業として3D-CADを用いた製図の学習,「材料と加工に関する技術」分野の授業として3次元造形装置を用いた加工と組み立てを行う学習を実施するために,カリキュラムを検討し,研究授業を行う。中学生の技術レベルを考慮するとあまり複雑な設計を行うことは難しいと思われるが,単純な平面図形を押出すことによって生成される簡単な3D図形データを用いてカラフルなアクリル板の加工を行い,キーホルダーなどの製作が可能であると思われる。 また,独立行政法人・教員研修センター主催の産業・情報技術等指導者養成研修が本学で行われる予定であり,その中で3D-CADならびに3次元造形装置に関する研修内容を盛り込むことによって,国内各地から参加する技術科教員からの意見を本研究に反映させる計画である。 なお23年度当初の計画では三次元造形装置を駆動するためにコンプレッサーの購入を予定していたが,既存のコンプレッサーを修理して使用できることになったので購入しなかった。そのために次年度使用額が生じた。これを活用して,24年度においてはノート型ワークステーションの購入を計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は,前年度に購入させていただいた3次元造形装置を中学校現場で活用して研究授業を行い教育効果を調べること,ならびに3D-CADを使える教員を増やすことを中心に研究を進める。 そのために工具,材料などの消耗品,学内外で3D-CADに関する講習会を実施する上で講師用として必要なノート型ワークステーションの購入費,研究授業の実施ならびに研究成果発表のための旅費を計上させていただいた。
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