本研究は中学校の技術科におけるものづくりの近代化と高度化・情報化を推進するために,3次元造形装置を中学校に試験的に設置し,それを活用した教育手法を開発し,教育的な価値を検証しようとするものである。 平成23年度は,まず3次元造形装置の試験的設置校の選定を行った。既に3D-CADの扱いを習熟しており,3次元造形装置の活用に関心のある技術科教員が所属する学校を選び,3次元造形装置を試験的に設置した。次に中学校教員による3次元造形装置の試験的利用を始めた。第1段階として,機構学習を行う上で必要な歯車やリンクなどの機構部品を主に鳴門教育大学で設計し,そのCADデータを用いた加工が3次元造形装置を用いて技術教室で行われた。 平成24年度は,まず3D-CADに関する講習を,中学校技術科教員30名を対象として実施した。半日の講習の結果,殆どの参加者が3D-CADの基本的な使用方法を習得した。使用したソフトCreo Elements Direct Modelingはフリーソフトであり,講習を受けた教員が教育現場でこのCADを使用することが期待される。次に3D-CADを用いて機構学習キット(歯車,リンク,スライダなどから構成される)を設計し,それらを用いて中学校において機構学習の研究授業を実施した。また中学校技術科の授業において3D-CADを用いた授業を行い,そのデータを使って3次元加工機で作品を製作する授業を行った。 平成25年度には,中学校の技術科の授業において3D-CADを用いた製図の学習と,3次元造形装置を用いたアクリル板の加工を行い,キーホルダーなどの製作を行った。また本科件費の最終年度であることから,これまでの研究成果を論文「標準化された部品を用いて組み立てる機構学習キットの開発」にまとめて日本産業技術教育学会に投稿,平成26年6月に掲載予定である。
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