研究課題/領域番号 |
23501024
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
神谷 和秀 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00244509)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 技術教育 / レオナルド・ダ・ヴィンチ / 機構模型 / 理科離れ / 製作教室 / モノづくり / キット / 手稿 |
研究概要 |
初年度は、製作教室のための「模型キット」に関する研究に着手し、また、「製作教室の運営方法」についても検討した。具体的には、以下の成果を得た。1)「模型キットの開発」 レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿から復元した100点を超える復元模型の中から、「ピボットベアリング」と「回転式距離計」の2種類の模型を選び、キットの試作を行った。製作したキットは、後述する製作教室で、子供たちが組み立て作業を体験したのちにアンケート調査い評価を行った。また、組み立て工程をビデオで記録したものを観察法でも解析して評価を行った。その結果、キットの難易度は適切であり、また、模型キットを利用した製作教室の実施によって、工学に興味を持たせることが可能であることがわかった。2)「製作教室の運営方法の検討」 申請者等が考える製作教室は、単なるキットの組立作業の場ではなく、工学への興味関心を持たせるためのキッカケの場である。したがって、製作教室で「何を語るか」が重要であると考えている。ただし、参加者は製作教室に勉強に来ているのではなく、遊びに来ている程度の意識であることがほとんどであることから、そのギャップを埋め、なおかつ、製作教室を効果的に運営するため、キットの組立方法などの説明以外に、参加者に「どのようにして」語りかけるべきかについて検討を行った。現時点では、製作キットと参加者の体験が交錯する例として、「ベアリング」と「歯車」に注目した。また、製作キットが身の回りの機械とどのように関連しているのかを分りやすく語りかける方法として、タブレットなどの電子デバイスを活用することが、参加者の興味を高め、継続させることに有効に働くことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿った研究を行い、初年度は予定通り研究を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画2年目には、「組立説明書(添付資料)」に関する調査研究に取り組む。また、教示資料の紙媒体以外の効果について調査を行う。1)「組立説明書(添付資料)の開発」 製作教室では、通常、レベルの異なった参加者たちを相手にすることが多いことから、講師が参加者の反応を確認しながら進行する。しかしながら、異なるレベルの参加者たちを同一の時間内で指導することは極めて大きな負担が生じ、円滑な運営が難しい。そこで、まず現状調査をするため、様々なタイプの市販の組み立てキットを入手し、そこに添付された組立説明書を分析する。その後、組立手順の説明をいくつかのパターンで製作し、製作教室で実際に利用した結果を観察法によって定量的な評価することで、組立説明書の製作を行う。2)「教示資料の提示方法について」 従来、製作教室において、教示資料は紙媒体、あるいは、プロジェクタに投影されたものを利用することが多かった。ここでは、教示資料である説明書の提供方法について、紙媒体は当然のことながら、それ以外の媒体として、タブレットコンピュータなどの利用についても研究する。そのために、タブレットコンピュータに適した形式の資料の作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)説明書関連 組み立て説明書を開発するための資料として、市販のキットを購入する。また、開発した教材を提示するための電子デバイス(タブレットコンピュータ)を10台程度購入する。2)製作教室関連 初年度に引き続き、キットを試作するため、材料費と工具等の消耗品を購入する。また、本年度は、富山県外でも製作教室を実施し、年度末には、研究成果を公表するため、その旅費を計上している。
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