最終年度は、24年度に引き続いて、組み立てキットの拡充、ならびに、教示資料の開発に取り組んだ。また、「モノづくり企画」として学協会等の力を借りて、製作教室を各地で開催し、本研究での取り組みの効果を調査した。具体的には、以下の成果を得た。 1)キットの拡充と教示資料の開発:昨年度に引き続き、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた手稿から、機構モデルの選定を行った。本年度は、カム装置とリンク装置に関するスケッチを選定した。選定したスケッチのうち、リンク装置に関するメモは、レオナルドのリンク機構に関する考え方についても記載されており、それらを追体験できるようにリンク装置のキットを製作した。製作したリンクキットは、20のパーツからなり、部品の組み合わせ方を変えることで、4つの動作を体験できるようにした。また、機械工学の導入教育のため、キット以外にもリンク関連のモデルの作成や普段の生活に生かされている製品を集め教材として取りまとめた。教示資料については、キットの設計時に作成した3次元CADデータから説明図を作成する手順をまとめ、昨年度までに試作した電子教材に準じて、本キットに合わせた電子ファイルを製作した。また、比較のため、従来型の教材(印刷された資料)についても同様に製作を行った。 2)「モノづくり企画」:本研究の総まとめとして、「モノづくり企画」を各種団体の協力を得て実施した。本年度に実施したイベントは7回(富山5回、大阪2回)、参加者の延べ人数は約120名に対して行った。イベントの参加者には、製作教室の実施後にアンケート調査を行い、本研究で行った取り組みに関する効果を調査した。その結果、いずれもイベントへの参加に対する高い満足度が得られ、参加者には工学への興味を持たせられることが確認できた。
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