本研究の目的は、小学校1年生を対象とした3年間の縦断的研究法によって子どもの推論的活動を支援する算数指導法を開発することである。研究結果から次の代表的結論が得られた。(1)子どもの推論的活動についての発達調査から、数量に関する推論では、低学年で上位水準に到達しそれを保持するタイプの多くが見られた。図形に関する推論では、低学年から漸進的に水準を上昇させるタイプが多く見られた。(2)子どもの推論的活動を支援する算数指導法の開発では、教授法の枠組みを「推論を確認する段階」「推論の発展を生み出す段階」「推論規則を明確にする段階」の3つの段階によって構成し、教授実験によって教授法の有用性を確認した。
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