本研究では、学習者の体の血液の流れ情報を取得処理して、提示することで学習者へ返す。それに基づいて学習者が応答をする形を取る。そのため、研究計画は1.USBカメラ利用の測定システムの開発、2.教材システム構築、3.教材システムの実践による検証 の3項目に分けて実施した。 23年度はUSBカメラ利用の測定システムの開発を行い、USBカメラの選定方法、測定環境の提案を行った。24年度は測定システムを用いて中学生,高校生,高校教諭対象に実践授業を行った。一部測定中に不安定になる現象を改善し、ユーザインターフェイスで操作性の改善を図った。得られた脈波データを処理・解析する方法では,学習者の学習進度に合わせ, 1.脈波を紙に印刷し,脈波ピーク間隔の計算,2.データを表計算ソフトでグラフ化し,目視によるピーク検出,3.数値データから区間最大値,最小値を計算して,自動でピークを検出する手順 など3通りの解析法を教材として作成した. 25年度では、中学生、高校生、高等学校教諭対象の実践授業を行い、1.紙に印刷してピーク計算、2.データを表計算ソフトに取り込んでグラフ化データの目視によるピーク検出および心拍数計算、3.データからピークを自動計算し、拍動の時間変動を求める実践教育を試みた。高等学校教諭対象の実践授業では、Processing(視覚的フィードバックが直ちに得られ、初心者が取り扱いやすいプログラム環境)でUSBカメラから脈波を抽出するプログラムを作成し、その過程を通じて理解を深める試みを行った。さらに、プログラムとドキュメントの配布を行った。配布後のサポート情報より、コンピュータ環境の違いによる配布ソフトウェアの効率的選定を行った。 これらより、USBカメラを用いた脈波観測とピーク検出による心拍数の計算教材は興味を維持しながら計算を実施する教材として有効であることを確認した。
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