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2012 年度 実施状況報告書

フランス産ジュラ紀アンモナイト化石の分類学的研究と教材開発

研究課題

研究課題/領域番号 23501033
研究機関名古屋芸術大学

研究代表者

東條 文治  名古屋芸術大学, 人間発達学部, 講師 (50422704)

キーワード理科教育 / 教材開発 / 示準化石 / アンモナイト / ジュラ紀 / 化石標本
研究概要

平成24年度はフランス,モロッコの両国でアンモナイトの産出する地層の調査を行った.フランスではLa Clapierにおいて,ジュラ紀アンモナイト化石産露頭について上位の白亜紀の石灰岩層まで層厚を測定し,柱状図を作成した.さらにアンモナイト化石は泥岩の浸食によって露出し,雨水の流路に沿って分布することを確認した.その流路上での分布・密集の様子から,流れによって運搬堆積していることが明らかになった.さらに母岩を定量的に掘り,含まれるアンモナイト化石の密度を計算することによって,表面に分布する化石が濃集し,母岩に含まれる密度より高い密度であることが判明した.また,教材に適したサイズよりも大きな化石も散在するが,浸食によって泥岩から掘りだされる前に断片化し完全な形では残らないことがわかった.
モロッコではジュラ紀のアンモナイト化石が豊富に産出する地域であるMidelt周辺に,4か所産地が存在することがわかった.その中でとくに教材として好ましい条件の露頭を絞り込み(フランスのLa Clapierとほぼ同じ時代の地層),調査を行うことができた.さらに古生代のゴニアタイトの露頭を調査するとともに,アンモナイト亜綱の最初のグループと考えられているバクトリテス目の化石を発見することができた.
一方で、調査などで入手した化石をもとに教材開発を行い,岐阜大学の大学院生竹中諒氏,教授川上紳一氏と連携し,中学生を対象とし,「化石を使って地層のできた時代を調べよう」という課題で教育実践を行うことができた.実物のアンモナイト化石を観察・スケッチし,図鑑資料を使いながら属の分類を行う.その後,見つかった種類を集計し,系統樹資料を使って地層の形成年代について考えるものである.教材とその授業展開について教員向けのガイドを制作し,化石教材の貸し出しに向けて準備を進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度については,当初予定していた研究内容が達成できた.平成23年度と同様,示準化石あるいは化石の同定に使用する教材としてふさわしい化石試料が産出するフランス,モロッコでの調査を行うことができた.この中で教材に適した化石について,産地の地層の様子や産出状況など映像資料も確保することができた.フランスでは昨年度の調査に加えて上下の地層の厚さなど調べるとともに,母岩に含まれるアンモナイト化石の密度を調べ,化石のサイズについてもより大きなものが浸食によって断片化し,小型のサイズのものが結果として見つかることなども明らかになった.モロッコではジュラ紀のアンモナイト化石で教材に適したものについての露頭を調査することができた.さらに古生代のゴニアタイト目,バクトリテス目の化石など,アンモナイトを用いた示準化石の学習に使えそうな化石試料,産地を調べることができた.これらの化石を教材として取り込むことができればさらに年代決定のトレーニングとしてさまざまな例を提示することができ,教材の持つ可能性を広げる手がかりをつかんだ.この点は当初の予定を上回る結果となっている.
さらに岐阜大学の大学院生竹中諒氏と教授川上紳一氏と連携して,アンモナイト化石を用いた教材の教育実践も行うことができた.この取り組みの中で得られたノウハウをもとに教員用のマニュアルの製作や実際の貸し出しなどに向けて準備を進めている.これについても平成25年度に予定していた研究内容を前倒しで進めることができており,順調である.

今後の研究の推進方策

平成25年度には,これまでの化石産地調査で得られたデータの整理とともに,フランスとモロッコでのジュラ紀化石産地の地層・年代・産状・産出種の頻度などの比較を行う.
平成24年度に岐阜大学の大学院生竹中諒氏と教授川上紳一氏と連携して,アンモナイト化石を用いた教材の教育実践の中で,教材として適したグループや,分類観点の明示について,学習の進め方など多くの点で注意すべきことが明らかになっており,これらの実践を踏まえて教材の製作を進める.
さらに,教材として必要な化石試料を確保し,化石試料と種の同定のための図鑑やワークシート,映像資料などの教材セットをそろえ,さらに教員のための実践マニュアルといったものを作成し,教材の貸し出しと実際の授業での活用実践を進めていく予定である.

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は,これまでの化石産地調査で得られたデータの整理とともに,教材として必要な多数の化石試料の確保が必要となる.これまでの調査で教材に適した化石試料や産地などは絞り込まれており,フランス産のジュラ紀のアンモナイト,さらにモロッコ産のジュラ紀のアンモナイト化石,それらとの対比として使えるモロッコ産の古生代のゴニアタイト目やバクトリテス目の化石試料について十分な数量を確保・購入したい.教材として十分なセットを用意するために,これらの化石試料の購入が必要となる.さらに,現地の映像資料やワークシートといった教育実践に必要な資料,教員のための実践マニュアルといったものを作成するために研究費が必要となる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] アンモナイト化石を用いた課題解決型授業の実践のための化石産地と標本の確保について2013

    • 著者名/発表者名
      東條文治・竹中諒・川上紳一
    • 雑誌名

      名古屋芸術大学研究紀要

      巻: 第34巻 ページ: 185-192

  • [学会発表] アンモナイト化石を用いた課題探求型理科学習の展開2012

    • 著者名/発表者名
      竹中諒・東條文治・川上紳一・山中敦子
    • 学会等名
      日本地質学会中部支部2012年年会
    • 発表場所
      岐阜大学
    • 年月日
      2012-06-16

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公開日: 2014-07-24  

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