昨年度開発したなでしこ用のPhidgetsライブラリを使って,なでしこで計測・制御を行うための教材開発を行い,それらを使った授業実践によって教育効果を検証した。教材開発においては,これまでは物理現象を題材としていたが,気象や地震など学生の生活に身近な題材を取り上げることとして,気象データ(気温・湿度・気圧など)の計測システムや緊急地震速報の疑似体験システムを構築した。これらの教材を授業に導入した結果,気象に関して「上空は気圧が高い」という思い込みや緊急地震速報に関して「地震を予知して発せられている」といった誤解を正しく理解させることができた。 気象データの収集や緊急地震速報の仕組みは情報ネットワークの仕組みの理解と不可分であるため,その仕組みを学習するためにネットワーク越しにセンサー値を取得(計測)したり,学生自らの遠隔操作によってLEDの点灯・消灯(制御)が行える教材の開発し,授業への導入を行った。 授業アンケートからは,センサーを使った授業に新鮮味を感じ,興味・関心の喚起があったことを確認できた。特に上空の気圧が低くなることを,5階建ての建物を上り下りしてその場で実測値を確認し気圧の低下を確認できたことは好評価であり,このような学習活動の重要性を確認することができた。 以上のことから,日本語プログラミング言語を使い,情報教育と科学教育を融合した教育手法で学習効果の向上が確認でき,研究目的を達成することができた。 平成25年度の研究成果は,広島県物理教育研究推進会主催の「明日から使える理科教材ワークショップ(X)―第18回物理教育研究会―」において「情報教育で理科!」というタイトルで出展し公表を行った。また,情報処理学会において「日本語プログラミングによる計測制御のための教材開発」というタイトルで講演を行い,計測制御を行う教材を使った授業実践の成果報告を行った。
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