研究課題
本研究の目的は、高等教育機関における工学・環境教育の一環として、エコ発電、電力供給、電磁エネルギー変換を三本柱で構成する、科学教育を目的としたスマートグリッド実験装置の開発である。今年度は特に、気象条件に左右されず常時発電可能である超小型水力発電システム(ピコ水力発電システム)の高出力化に力を入れた。昨年度に研究開発を進めたダイレクトドライブのアキシャルギャップ型発電機は片面磁石配置の構成で、最適負荷において400rpm回転時に約7Wの出力が得られるが、ここで用いた水車ではこの出力を得られなかった。そこで、水車への流量・流速を増加し出力増大を図る水車の改善(大容量化、軸封水の強化)を行った。その結果、流量を30L/minから90L/min程度まで約3倍増加でき、それに伴い出力も約3倍向上できることが確認できた。ただし、本取組は発電機の性能を引き出すための方策として機械的入力エネルギーを増大したものであり、水車効率と出力はまだ十分とはいえないため、さらなる改善が必要である。次に、電磁変換システム教材として、ブラシレスDCモータ模型の試作検討を継続した。昨年度構築したアキシャルギャップ型モータのほかに、モータの応用例として空調の温度調節制御を行う基礎検討を実施し、目標値へ収束させることを確認した。最後に、非接触給電システムについて、電気自動車への給電を対象とした高効率化を検討した。電磁誘導による非接触電力伝送はコイル間の距離が影響するため、物理的に距離を縮めて効率を維持する方法と、遠距離でも効率を維持して伝送できるブースターコイルの検討を行い、いずれも伝送電力の低減を改善する結果を得た。以上、エコ発電、電力供給、電磁エネルギー変換を三本柱とした実験装置の開発を進めてきた結果、現在は各々独立した検討ではあるが、これらを有機的に結ぶことで一つの全体像に繋がる予定である。
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Journal of the Magnetics Society of Japan
巻: Vol. 37, No. 1 ページ: 1-7