研究概要 |
本研究は簡易電気自動車をテーマとしたものづくり教育で、教材キットと教育プログラムの開発および評価を行うものである。高専低学年を対象に好奇心や創作意欲を喚起させるとともに、運転時の加速感と計測値から電気エネルギーの定性的かつ定量的な理解を促すことを目的とする。 研究初年度に簡易電気自動車の基本キットを開発した。実習の総作業時間を大幅に短縮。車両の完成度・安全性・安定性の向上により運転中の電気エネルギーの体感的理解も向上した。翌年度は教材キットの安全性向上を目的に実習資料を充実させた。また、学生の努力を評価することを目的に、学生の自己評価を成績評価の一部に導入した。自己評価の内容は妥当性のある結果が得られた。 小・中学生を対象に本教育プログラムを縮小した公開講座を実施した。最終年度では組立式電動カートキットとテレメータを開発した。講座は同キットを組み立てて試乗する。待機中でも消費電力を観察できるように車外設置のPCで計測値を表示した。全講座において電気エネルギーの体感的理解ができると評価されており本研究の汎用性が確認された。 本実習を受講した2~5年生を対象に(4,5年生は研究期間以前)、低学年での電気エネルギーの体感的理解の以後の学習に与える効果を問うアンケートを実施した。役に立ったという回答は5年生78%、4年生40%、3年生61%、2年生75%であった。4年生は試行期間で試作キットの精度の低さに起因して評価が低い。対して研究期間に該当する2,3年生は6割以上が継続して教育効果を実感しているという結果が得られた。要因としては教材キットの信頼性向上と、教育プログラムの最適化の効果によるものと考える。 本研究を報告した全国高専教育フォーラムでは優秀発表賞として高く評価された。なお本教材キットについては今後の市販化を含めた検討を進めている。
|