研究課題/領域番号 |
23501044
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研究機関 | 大阪府立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
北野 健一 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20234263)
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キーワード | ティーチング・ポートフォリオ / ファカルティ・ディベロップメント / 高等専門学校 / ワークショップ / メンター / メンティー / メンタリング / キャリア教育 |
研究概要 |
平成24年度は本校を会場としてティーチング・ポートフォリオ(TP)作成ワークショップ(WS)を2回(参加者:学内6名、学外12名)、TP作成長期コースを1回(参加者:学内2名)、TP更新WSを2回(参加者:学内4名)、アカデミック・ポートフォリオ(AP)作成WSを2回(参加者:学内1名、学外5名)、スタッフ・ポートフォリオ(SP)作成WSを1回(参加者:学内1名、学外2名)開催した。これによって、大阪府立大学工業高等専門学校では常勤教員76名中45名がTPを作成し、約6割の教員がTPを執筆した高等教育機関となった。 また、本校では学外からも作成者を受け入れており、2013年3月末現在、本校でTPを作成した教員は学内外あわせて86名となっている。日本国内におけるTPの作成者は現在約400名と推測されており、日本国全体におけるTPの作成者のうち、2割以上が本校でTPを作成していることになる。本校は「日本におけるTPのメッカ」としての役割を十分果たしている。 全国高専教育フォーラム、日本高専学会、日本工学教育協会工学教育研究講演会等において、TPをはじめとする各種ポートフォリオについての講演を行った。 TPを正しく導入するためには構成員の正しい理解が必要である。よって、TPについての正しい情報をFD講演会等の形で周知した。平成24年度は5高専2大学で講演を行い、そのうち1大学でTPの組織的な導入にこぎつけた。 TPを組織的に導入している高等教育機関は大学・高専あわせて22である。しかし、高専だけに絞ると、2013年3月末現在、全国57高専のうち、TP作成者が1名以上在籍している高専は18高専(28%)、TPを組織的に導入している高専は10高専(14%)となっている。TP導入大学の割合にくらべれば、かなりの高率といえ、本研究目的の一つである高専へのTP普及は着実に進んでいるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本校を会場として、ティーチング・ポートフォリオ(TP)作成ワークショップ(WS)を平成23年度2回、平成24年度2回開催することができた。これによって、本校でTPを作成した教員は学内外あわせて86名となっており、全国のTP作成者のうち2割以上が本校で作成していることになる。本校はまさに「日本におけるTPのメッカ」となっている。 また、TP作成WS以外に、アカデミック・ポートフォリオ作成WSやスタッフ・ポートフォリオ作成WS、TP更新WS、TP作成長期コースも開催した。 WS期間中にメニューとして組み込まれている「よりよいメンターになるために」の結果から、メンターとして必要な資質について抽出し、それが社会人基礎力や教員に求められる資質と共通点が多いことを明らかにした。この成果は所定の査読を経て、日本高専学会誌17巻3号、第6回論文特集号(平成24年7月発行)に論文として掲載された。 また、学生に対するキャリア教育の一環として、本校では学生にキャリアデザイン・ポートフォリオを作成させているが、学生がキャリアデザイン・ポートフォリオを書くことによる活動をSECIモデルにあてはめ、キャリアデザイン・ポートフォリオを、担任やクラスメートとのコミュニケーションツールとして用いることによって、学生の人材育成に寄与できる可能性を示した。この成果は「未来材料」誌(平成25年1月発行)に掲載された。 また、TPを正しく作成するためには、WSの基準を明確にしておく必要があり、大学評価・学位授与機構プロジェクト研究協力者として、その基準策定にかかわった。基準は、2013年3月17日に「ティーチング・ポートフォリオ・ネット(http://www.teaching-portfolio-net.jp/)」において、ver1.1が公開されている。以上の理由により、「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2012年3月、国立高専機構は「モデルコアカリキュラム(試案)」を公表した。これは、教育機関がその設置目的に応じて教育研究指導を遂行していくために必要な教育内容の体系(カリキュラム)の中核(コア)部分をモデル(手本・模範)として示していこうとするものである。この中で、「第8章 モデルコアカリキュラムの質保証機能を担保するための取組み」の一つとして、「ティーチング・ポートフォリオ」が取り上げられており、高専では、今後さらに注目を集めると思われる。このような情勢において、そのニーズに応えるため、平成25年度もTP作成WSを3回開催する予定である。TP作成WSは3回のうち2回を学外で開催し、ワークショップを学内と学外で開催することの差異と問題点の抽出を行い、理想的なワークショップのあり方についての研究を行うことを計画している。 それと並行して、引き続き、高専等への普及活動に努める。TPを正しく導入するには構成員の正しい理解が必要である。そこで、TPについての正しい情報を発信するとともに、学協会にも積極的に参加し、成果発表に務める。 アカデミック・ポートフォリオ(AP)とは、教育,研究,サービス活動(社会貢献・管理運営等)の業績についての自己省察による記述部分およびその記述を裏付ける根拠資料の集合体である。教員の最も重要な成果に関する情報をまとめた記録であり、単に「リスト」を作成するのではなく、3つの活動を「統合」し、相互の影響について自己省察し、最終的に三つの活動の「核」「原点」となっているものを見出すものである。これをTPの拡張版として位置付け、TPを作成した人に対する次のステップとして提供していく。具体的には、平成25年度中にAP作成WSを1~2回開催する予定である。また、職員対象のスタッフ・ポートフォリオ(SP)作成WSも1~2回開催する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品(総計 140千円)・・・ワークショップの開催にあたり、必要となる文房具、プリンター、トナー、インクカートリッジに90千円、またTP関連書籍の購入に50千円を予定している。 国内旅費 (総計 680千円)・・・客観性を保つ観点から外部メンターは重要である。外部メンターの招聘旅費として60千円×3回を予定している。また、本校以外の教育機関から本校教員にメンター依頼があった場合の出張旅費として、60千円×2回×3名を予定している。その他、学協会における成果発表の旅費として140千円を予定している。 謝金等 (総計 300千円)・・・客観性を保つ観点から外部メンターは重要である。外部メンターを招聘した際の謝礼として、100千円×3回を予定している。 その他 (総計 1480千円)・・・研究成果を積極的に学会誌等に投稿する際の費用として80千円を予定している。また、Webページ作成費用として、200千円を予定している。ワークショップを8月7~9日に大阪南港の研修施設で実施するが(予約済み)、その際の賃料として900千円を予定している。 最終年度であるので、本研究の調査報告書の印刷費として250千円、これの郵送費として50千円を予定している。
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