研究課題/領域番号 |
23501046
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
三木 功次郎 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80259910)
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研究分担者 |
直江 一光 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00259912)
北村 誠 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60341369)
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キーワード | 自己駆動型電量分析 / バイオ電池 / 電子受容体 / 微生物 / 酵素 / 化学教育 |
研究概要 |
1.自己駆動型電量分析装置の開発 平成23年度に作製したクーロメトリー測定セルの更なる改良を行い,簡便に作製できる構造とした。市販の樹脂製透析セル(負極・陽極共に約2.5 立方センチメートル)を一部加工して用い,負極・陽極の電極には表面積が大きいカーボンフェルトを使用した。負極反応槽と正極反応槽の間の隔膜には市販の陽イオン交換膜を用いた。このセルの性能評価のため,FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼおよび電子受容体となる2,3-ジメトキシ-5-メチル-p -ベンゾキノンを用いて,自己駆動型クーロメトリーによるグルコース測定を行った。5分以内に酵素反応およびクーロメトリック測定が終了し,グルコース量から求まる理論値にほぼ等しい電気量が得られた。また,本法を用いて日本酒モロミ中のグルコース濃度を測定したところ、従来法とよく一致した良好な結果が得られた。また、効率よく全電解するために、電解質液に金属ナノ粒子を入れることを考え、直径数ナノメーターの水溶性球状金ナノ粒子の調製方法について検討を行った。 2.クーロメトリー測定セルを用いたバイオ電池の作製 クーロメトリー測定セルをそのまま利用して,自己駆動型電量分析と同じ原理で作動するバイオ電池の作製を行った。その結果,開回路時の電圧0.74 V、最大出力20.0 mWを得ることができ,小型モーターを駆動することが可能であった。小学5・6年生を対象に,この電池を教材として用いた実験教室を開催したところ,参加者からは微生物の様々な働きが分かったと好評であった。 3.実験カリキュラムの検討 これらの研究成果をもとに自己駆動型電量分析装置やバイオ電池を用いた実験カリキュラムに関して、実験実施方法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自己駆動型電量分析測定セルの改良により,電解効率および再現性の向上ができ,また簡便に組み立てることが可能となり,教材として活用可能なものとなった。また,グルコースの自己駆動型電量分析法の確立もでき,実用化レベルの測定法となった。また,クーロメトリー測定セルをそのまま利用して,バイオ電池の作製を行い,教材として用いることができ,活用の幅が広がった。しかし,本自己駆動型電量分析装置を用いた微生物活性測定やBOD測定,電解液の金属ナノ粒子含有による電解に与える効果などについては,基礎的な検討段階である。
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今後の研究の推進方策 |
この自己駆動型電量分析装置を用いたBOD測定の開発を行う。BOD標準液に含まれるグルコースやグルタミン酸,電子伝達系阻害剤などを添加した場合の微生物による電子受容体還元量について検討を行う。これによって得られる情報は、微生物活性や代謝物質,環境汚染物質などに依存すると考えられる。そのため,様々な物質が生命に与える影響について直感的に理解できる教材となることが想定できる。 また,日本酒醸造現場において測定が必要とされているピルビン酸測定についても,自己駆動型電量分析装置を用いた測定法の開発を行い,実用化を目指す。金ナノ粒子を触媒とする電量分析法についても検討する。 。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、自己駆動型電量分析装置の測定セル製作に必要な材料(アクリル製透析セル・電極等),電流測定に必要なデジタルボルトメータ・精密抵抗器,実験器具,試薬(酵素等を含む),微生物などの購入に使用する。また、研究成果発表のための国内旅費に使用する。
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