研究課題/領域番号 |
23501047
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研究機関 | 津山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐々井 祐二 津山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40235239)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 天文 / インターネット / シミュレーション |
研究概要 |
津山インターネット天文台の整備作業としては、計画調書記載の口径35cmシュミットカセグレン式望遠鏡の換装がある。新型ACF光学系鏡筒に換装し、シャープな星像の観測を可能にする。また、追尾精度向上のため赤道儀方式とすることを目的としていた。換装されるシュミットカセグレン式望遠鏡の有効活用策も検討し、本望遠鏡はそのまま観測室に残し、新望遠鏡のため簡易観測室の整備を図った。観測室は直接経費で対応できないため、本校の校費により2月~3月に整備された。0.8トンの簡易観測室をコンクリート布基礎の上に設置している。新天体望遠鏡として、Meade社LX200-35ACF鏡筒を最大搭載重量45kgのLosmandy社Titan赤道儀に搭載したシステムが3月末に導入された。本赤道儀は自動導入システム ジェミニ2で制御され、天体導入精度3分角が期待される。面積の小さいCCDチップ上に星像が導入できるよう、現在調整中であり、Meade LX200コマンドにより遠隔制御を行う。 公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については、第1回 5/18(水) 19:15~20:45 口径35cm望遠鏡で土星を見よう、第2回 8/4(木) 18:15~20:45 夏休みスペシャル 手作り望遠鏡で月を見よう、第3回 10/31(月) 18:45~20:15 接近した木星を見よう、第4回 12/13(火) 17:45~20:15 宵の明星 金星を見よう、を開催した。なるべく多くの天体を見てもらうため受講生定員を1回当たり20名としていた。参加受講生は合計82名,保護者等も含む参加者は合計約153名であった。アンケートの採れた計3回の講座の肯定的な評価が92%,普通の評価が8%であった。また、外部から依頼された天体観測会にも対応した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
津山インターネット天文台の整備作業について、新簡易観測室設置場所の検討過程で既設観測室の設置場所に問題が見つかり、3月に別棟の適切な場所へ既設観測室を移設した。また、望遠鏡換装の代わりに、新観測室にACF光学系鏡筒と赤道儀システムを格納することで、観測室を増設することができた。当初目的よりも大掛かりな作業となったが、天体観測会やインターネット化に活用可能となったので、9割程度達成できたと考える。 公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については予定通り開催し、概ね好評であった。地域の小中学生に天文教育を行い、目的を完全に達成できたと考える。 計算機シミュレーションによる物理現象の視覚化については、高専の物理系科目で取り扱われる範囲で視覚化すべき内容の構想のみで、達成度は高くない。 新簡易観測室の設置とメインシステムの格納が3月に行われた関係はあるが、総合的に判断して「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果を基にした津山インターネット天文台の整備作業としては、 冷却CCDカメラの改良がある。現在はシリアル制御方式を用いているが、現行の冷却CCDカメラはほぼ全てUSB制御方式であるので、WindowsをOSとするカメラ制御PCを構築し、広写野のラージフォーマット冷却CCDカメラを接続したい。これにより低倍率で精緻な映像を観察することが可能となる。天文台の本校物理系授業での活用を、まずはテーマ探求型グループ授業から始める。 公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」のテーマとしては、5月25日 「口径35cm望遠鏡で土星と火星を見よう」、7月25日「夏休みスペシャル 手作り望遠鏡で月を見よう」、11月19日「口径35cmで木星を見よう」、12月17日 「夏秋冬の星座を見よう」を予定している。 計算機シミュレーションによる物理現象の視覚化としては、高専の物理系科目で取り扱われる、物体の運動、天体の運動、分子運動、波動現象、電気と磁気、原子核の崩壊等の内容で視覚化すべき内容のリストアップとコンテンツ試作を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
新簡易観測室(校費)の設置とメインシステム(本科研費によるMeade社LX200-35ACF鏡筒とLosmandy社Titan赤道儀)の格納が3月に行われた関係もあり、次年度使用額が発生した。しかし、赤道儀コントローラー他(361,350円)についても納入され、既に使用している。また、金環日食(津山では大規模部分日食)に合わせてた太陽めがね(100枚)や減光フィルター他により約13万円使用済みである。 残金約10万円については、天体映像配信のための補助的な1/2インチカラーCCDカメラ導入に充てたい。
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