研究課題/領域番号 |
23501048
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川崎 敏和 阿南工業高等専門学校, 一般教科, 教授 (90186081)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Origami / Education |
研究概要 |
初年度の計画に沿って、幾何折り紙キットの試作品作りと改良を行った。(1)折り紙の各種技法の特性を検証した。技法により難易の違いがあるものの折り工程の図と説明文の読解力が作品完成の重要要素であることがわかった。そこで、幾何折り紙教材の制作という目標達成のために、4枚組みブロックと箱を含む多面体の折紙キットを作っていくことにした。4枚組みブロックの幾何折紙キットの試作品を作り、折り紙の科学研究集会や地方、ニューヨーク、デリー(インド)など、のべ9か所の折り紙講習会やコンベンションで幾何折り紙キットを配布・講習するとともにアンケートをとって問題点を洗い出した。(2)最初の試作折り紙キットは、数学の検定教科書のように、基本となる折り技法→練習問題→研究テーマという流れに沿って解説と折り図を配置したものであった。しかし、基本技法の説明が長過ぎる、どのようなな作品ができるのかわかりにくい、といった指摘があったので、折り技法を柱とした構成から作品中心の構成に変更して、「スポンジキューブを作ろう!」というタイトルつきのキットにまとめた。さらに、LHRなどでの使用を考慮して、チームで制作して完成を競うためのキット「ブロックを高く積もう!」を作った。また、キットのための折り紙作品の開発は順調で、箱など優れた折り紙が完成している。(3)体調不良で入院し研究が中断したため、パソコン、最新の描画ソフト、ビデオカメラなどの機器が購入できず、研究費の次年度へ繰り越しが多くなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)入院による中断があったものの、幾何折り紙キットの試作品制作および試用とアンケートによる検証、改良は順調に進んでいる。計画通りに折紙技法の解析も行ったが、本研究における折り紙の役割を鑑みたとき、技法を柱にテキストを作成すると、もの作り教育のためではなく、折り紙テキストになってしまうことが判明した。(2)幾何折り紙キット「スポンジキューブを作ろう!」、「ブロックを高く積もう!」は、折り紙講習会や教育現場での最終検証を待つばかりである。2種類のキットによりスタイルがほぼ確立した。キットに使えるような箱などの幾何折り紙の開発は順調で、10種類以上の幾何折り紙作品とその折り図が完成している。現在、上述の2キットをひな形とした折り紙キットを作成しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
(1)6月の折り紙の科学研究集会および名古屋の東海高校・中学での「スポンジキューブを作ろう!」と「ブロックを高く積もう!」の検証を行ったのち、同様のキット(四角深箱、八角箱ほか)の制作を本格的に進める。教育現場での検証は、計画に沿って行うが、原発事故により、検証の核に位置づけていた福島高専での実施が先行き不透明な状況にある。検証場所の変更も考えている。(2)新たに作成した幾何折り紙キットは、ほぼ完成している2つのキットと同じように実施検証を行う。(3)物品の購入ができなかったために進んでいなかった照明器折り紙キットの試作品作りを始める。使用する作品は幾何学的な「シャクナゲ」や「平織り」を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度購入できなかった、パソコン、描画ソフト、ビデオカメラなどを購入する。使用検証のためにキットを大量に制作する。そのために色紙、袋、印刷費、人件費を使用する。LEDを利用した照明折り紙キットを試作するためにLED照明を購入する。実際に2種類のキットを作ってみて、必要となるキット数や色紙が予定してしたよりかなり大きくなるために、材料費と袋づめの人件費が大きくなる。研究集会(東京、名古屋、京都、鹿児島)や講習会(徳島、名古屋ほか)において、キットを実施検証するために旅費を使用する。
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