研究課題/領域番号 |
23501048
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川崎 敏和 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90186081)
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キーワード | Origami / Education |
研究概要 |
申請書の研究目的:明らかにしたいことに書いた「申請者が経験的に、折り紙がものづくり教育に有効と感じていることが何のかを明らかにする」の答えが得られた。①色彩に頼らない形状認識。②失敗体験。③的を絞ったものづくり教育。④コピー用紙など身近な材料の使用である。②の失敗体験とは、例えば、綺麗に折れない工程図を用いてあえて不出来なものを折らせたのち、正しい工程とコツを提示して、その重要性を認識させることである。高価な教材を使う従来の実験・実習ではできなかったことである。現在、既に作成した幾何折り紙キットを、失敗体験を含む形にまとめ直している。④身近な材料の使用は利用促進に非常に有用である。そのために阿南高専のWebサイトにアップするためのコピー用紙で折る折り紙キットを作成しているところである。さらに、平成23年度実施報告書の【今後の研究の推進方策】等に書いた①折り紙の科学研究集会等での3度の研究発表および東海中学・高校での検証を行ってキットを改良した。②幾何折り紙キットは順調に数を増やし、日本折紙協会の徳島、香川、筑後、長野支部のみならず、中高生、徳島県家庭クラブリーダー研修会、生涯学習などで計8回講習して検証して改良を重ねた。③照明折り紙キットも作成した。なお、計画にあった「平織り」は折るのが難しいので使用しないことにした。 さらに、交付申請書の研究実施計画、平成24年度以降に書いた(E)日本折紙協会の機関誌「おりがみ」への研究報告記事は、タイトル「ものづくり教育に役立つ幾何折り紙教材の開発」で連載を開始して、すでに第3回まで掲載され、第4回も投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書の研究実施計画に記載した項目(C)~(F)はほぼ達成した。(C)は折り紙キットの試作・講習・検証・改良である。(D)は研究発表である。学術研究集会で口頭発表3回行った。(E)は折り紙研究誌での発表である。日本折紙協会の機関への連載を始めた。(F)は中学・高校。高専での講習・講演・アンケート・改良である。東海中学・高校および徳島県の高校生に対して行った。研究実績の概要に書いたように、折り紙の特性①~④を最大限に生かすように、キットを作りかえたうえで、製本すれば本研究が完成するという道筋が明確になった。さらに、コピー用紙で折るLEDキャンドルライトのキットも完成している。計画に書いた「平織り」の代りとなるこのキャンドルライトは、簡単なうえ色紙以上に身近なコピー用紙を用いるため、折り図をネット公開するだけで、利用の幅が広がる。このようなスタイルの折り紙を増やすことで研究成果の社会への周知・普及が広く行える。また、作品開発の中で「ネジ組み」という画期的な技法を発見し折り紙界へ寄与することができたことは、想定外の収穫であった。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に書いた、折り紙の特性①~④に沿って、各折り紙キットの目的を絞る。①折り図のモノクロ化により色彩依存を減らして形状認識力を高めるものに作り変える。すでに作成しているカラーのものは、講習で評判がよかったので、簡単なものに限定して、小学生など低年齢対象のものとしてまとめる。当初計画にあった動画は、当然カラーになるので、形状認識力を高めることにつながらないのでやめる。②不出来な仕上がりになるような折り図で折ったものと、正しい折り図で折ったものを比較させることで、指示された通りに忠実に作業するすることの重要さ認識させる。③「素材の厚みからくるずれ」や「摩擦力の影響」など、理解させる具体的事項に的を絞ったキットに作り変える。④コピー用紙で折るものを増やす。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年5月17日は中学生230名、高校生170名に対して、幾何折り紙キットを用いた講習行う。6月に社会人、7月に高専生対象に講習行う。そのため、交通費および大量の折り紙キット製作費が必要となる。講習は海外、ハンガリーのブダペストやイギリスのエジンバラでも行う。最終的には冊子にするので、印刷製本費と折紙購入費が必要となる。本研究の成果発表を頻繁かつ広範囲で行っているため、講習の引き合いが急増し、使用する色紙が大量になり消耗物品費の割合が高くなる。
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