研究課題/領域番号 |
23501050
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研究機関 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
研究代表者 |
佐藤 武宏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (30280796)
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研究分担者 |
田口 公則 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (70300960)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 教材開発 / 貝殻 / 学校教育 / 博物館 / 講座 |
研究概要 |
現状分析として、中学校・高等学校の理科・生物・地学分野において、学校教育の現場で扱いにくかった項目について検討した。形態変異、成長、進化、多様性などに注目し、実物資料として調達が容易なもの、資料としての前処理が容易なものを検討した。 試行的な講座として、博物館の室内実習を計画し、実施した。具体的には、現生ホタテガイと化石ホタテガイを材料としてホタテの進化や個体群間の変異を理解する講座、現生アサリを材料として個体変異を理解する講座、現生アワビを主たる材料として個体の成長を理解する講座、さまざまな巻貝類を材料として巻貝全体のかたちの法則性や多様性について理解する講座をおこなった。 これらの講座で材料に選んだ貝類は、すべて水産物として入手できるものである。そこで、材料を標本のかたちで調達するのではなく、流通品から標本にすることを実際におこない、資料作成の手順や方法について確認した。また、これらの作業で用いる用具、設備は一般家庭や中学校・高等学校の理科室に常備されているものであることを確認した。 博物館の室内実習では、参加者にアンケートを取り、実習によってどれだけ理解度が向上したか、その効果を確認しようと試みた。しかし、講座参加者は元々この分野に興味を持っている者が多く、母集団からの任意抽出集団とは言い難いため、結果については参考として把握するに留め、分析まではおこなわなかった。 これらの講座について、学校教育の現場で実施が可能かどうか検討したが、参加者の人数の問題や、材料の調達方法など、実施には更に改善すべき点があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
博物館で試行的に実施した講座を、単純にそのまま学校教育の現場に応用することはなかなか容易ではなく、博物館では博物館向けに、学校では学校向けにアレンジする必要があることを確認した。そのため、プログラム開発の方向性は見いだせたものの、平成24年度当初から直ちにプログラムの公開や出前授業の実施をおこなうのは難しいのが現状である。 予算の執行に関しては、人件費の執行が遅れた。これは、市場流通品である貝を標本化するためのアルバイト雇用を想定していたのだが、上記のようにプログラムを若干アレンジする必要があったため、機械的に標本を作製する作業を後送りにしたためである。 以上の理由により、研究の達成度を「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画書にしたがって研究を推進する。ただし、平成23年度で生じた遅れ、すなわち、博物館での講座を学校教育現場に応用する際の、スケーリングの問題、プログラムの修正などについては、平成24年度に実施する。 したがって、平成24年度に実施する事柄は以下のようになる。 (1)貝殻を利用した理科教育、特に機能形態、多様性、生態、変異、進化などに関する実習プロクラムの開発と、学校教育への応用方法の検討。(2)プログラムの学校への提供と出前講座の実施。(3)関連する博物館での講座の開催。(4)従来型の観察会との比較。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度から平成24年度に繰り越した研究費は、市場流通品である貝類の購入を目的とした消耗品費および、購入した貝類を標本に加工するための賃金である。これは、前述のようにプログラム開発にわずかな遅れが生じたことによって滞ったものである。この繰り越し金については、平成24年度に執行する。 当初計画で計画していた、平成24年度の研究費については、予定通り執行する。
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