本事業では、学校における動物飼育の意義を明らかにし、教材の開発を行ってきた。最終年度にあたる平成25年度には、活用する動物の幅をヤギ、ウサギ、ニワトリ(ウコッケイ)の3種類に拡大し、生活科を軸とする学級活動または学年活動に飼育活動を取り入れるためのプログラム作りを行い、同様のプログラム作成活動を、教員養成課程の学生にも行わせた。作成したプログラムを実際に小学校の子どもたちを対象に実践しその成果を検証した。プログラムの作成過程は学生にとって、自分たちが飼育活動で学んできたことを振りかえるよいきっかけとなり、そうして作成された教材は、動物を日常的に飼育してきた学生の目線が生かされ、実効性の高いものであることがわかった。 2つ目に、仙台市内の小学校を対象にして行ったアンケート結果からは、学校で動物飼育活動が困難な理由は、感染症への危機感、飼育の手法がわからないこと、土日や休日の世話がたいへんであること、施設や財政的裏付けがないことの4つであることがわかった。その一方で、生活科の内容に飼育活動が含まれることも含めて、生命教育に対するニーズは高く、一過的な訪問学習にとどまらない、動物とのふれあいができる環境づくりが求められることがわかった。 3つ目に、年間を通じて動物の飼育繁殖活動に取り組んできた学生たちと、飼育してきたウコッケイの調理を行うプログラムの開発を行った。このことは学生にとって、得るものの大きな活動であったと評価が高かった。ヤギの乳、ウコッケイの卵など、家畜動物から得られる恵みを活かした教育活動の価値は高く、飼育動物の選定にあたっては、かわいいから、扱いやすいから、だけでなく、人間との関わりを重要視することが大切である。
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