自然科学に関する「正しい知識を学校教育の中でどう教えるか」,「新たな科学知識の獲得を促進する学習環境をどう作り上げるか」は,理科教授の根源的なテーマであり,不易の課題である。近年の世界的な科学教育の動向に目を向けると,どの国でも科学の振興に呼応して科学教授の振興も喫緊の課題となっており,この分野では多くの研究成果が報告されている。 そこで、本研究では,科学教授の方法改善をはかり,「科学教育で扱うべき最新の知識内容」を取り扱いながら,学習者の「意思や動機」,学習環境の「社会文化的な要因」を反映した先進的な実践研究を行った。 特に,意思や動機などの心理学的観点は,科学知識の獲得を「合理的過程」だと表明してきた初期研究では省みられなかった成果が種々確認できた。また,研究者と教育現場とを結ぶWebシステムを活用し,その成果を実践家と共有しながら,心理学や社会学を踏まえた新たな科学知識の教授法を提案し,臨床的な評価を繰り返し行った。
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