最終年度の平成26年度には,本研究4年間の総括と4年目の課題に,主に以下の3つの観点から取り組み,成果を確認することができた。一つ目は,11月に日本社会科教育学会第64回全国大会自由研究発表において,平成23年度から平成25年度までの過去3年間の学生のフィールドワークと授業構想及び出前授業による授業力育成の研究についてリフレクションし,その成果と課題を明らかにした。環境教育を含めて,学部3年生を対象に取り組んできた出前授業型の授業力育成の意義について論じ,それらを日本社会科教育学会全国研究大会発表論文集第10号と新潟大学教育学部研究紀要第7巻第2号(平成27年3月)にまとめた。 二つ目の取組みは,国境を越える海洋・大気環境問題について国際的視野から考えることである。5月に来日した北京師範大学及び師範大学実験小学の教員等と日中の小学校授業について意見交流した。12月に別の用務で北京師範大学実験小学校を訪問し、授業交流と昨年度からの研究課題である中国の大気汚染教材化のために北京の実情等を把握して,越境する環境問題の教材を深めることができた。 三つ目の成果は,この4年間の取組み成果と課題を明らかにするために,3月に桜美林大学四ッ谷キャンパスで開催された日本社会科教育学会等の開催による「原発事故と水産業」に関するシンポジウムに参加し,また3月末には小学校教員の経歴を持ち,公害教育実践と原発事故と福島の水産業の授業構想に取り組んでいる琉球大学白尾裕志氏に学生の授業力育成と越境する環境問題等の社会事象の扱いについて評価して戴き,本研究の成果と今後の課題を明確にすることができた。 上記以前の3年間の研究成果として,①越境する海洋問題を考えるためのサケアニメーション教材作成とその授業活用による効果,②大学院生によるサケアニメーション等活用の出前授業の成果の学会・論文発表が挙げられる。
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