研究課題/領域番号 |
23501063
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
荻原 彰 三重大学, 教育学部, 教授 (70378280)
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研究分担者 |
北村 淳一 三重大学, 生物資源学研究科, リサーチフェロー (00432360)
平賀 伸夫 三重大学, 教育学部, 教授 (90345934)
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キーワード | 環境教育 / 河川 / 小学校 / 治水 |
研究概要 |
24年度は23年度に行った治水・利水情報、文化情報、生態情報の聞き取り等を整理し、特に祓川下流域の治水・利水情報が教育利用の上での有用性が高いと判断して、祓川下流域にある下御糸小学校で治水遺構を利用する教材の開発を行った。またその有用性を確かめるため、下御糸小学校で6時間に渡る教育実践を行った。この教育実践の特徴は、これまで教育実践の中であまり取り上げられてこなかった伝統的な治水の遺構に注目し、 (1)生態、治水・利水、歴史など祓川の様々な側面を撮影し、解説を加えた動画ライブラリーを開発(開発自体は昨年度)し、そのうち、治水に関する動画を利用したこと(2)伝統的な治水の遺構の模型で実験を行い、その効果について実感的に知る活動を行ったこと(3)遺構の実地観察を行ったことである。模型は発泡スチロールで制作し、そこに実際に水を流してみることにより、その効果を確かめ、先人の工夫の巧みさを理解してもらうことを目指した教材である。治水遺構は校区内の学校に近い場所に存在し、通学途上で見ることも多い見慣れた事物である。しかし「ふつうにわたっている所が、川をあふれさせないくふうがあるなんてしりませんでした」という感想にあるように、治水と関連があることはほとんど意識されていない。実地見学を行うことにより改めてこれらの遺構の意味を理解し、意識してもらうことをめざした。授業後のアンケート調査の結果、児童は伝統的な治水の考え方及び治水技術についての理解を深め、興味関心を高めることができたと判断される。また祓川河口にちかい干潟について季節ごとの自然調査を行い、それを整理し、GIS上のデータベースに格納する作業を行った。特に潟湖干潟において見られる、特徴的な耐塩性植物の群落、ハマボウ群落、干潟と川を区切る石造の堰堤は自然観察上の利用可能性が高いと判断し、それらを利用した教育プログラムの設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は最終的に教育実践への有用性をめざしているが、2年度目で学校現場での試行に移すことができ、良い結果をえることができた。自然観察・聞き取り調査等を通した資料収集も順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、河口近くの干潟の動物(貝類などの底生生物が主たる対象)や塩生植物の調査を進めると同時に、GISとGPSを連動した自然観察用デジタルガイドブックの開発を進め、自然観察会で試行する。 中学校で利用できる祓川流域全体の地史も視野に入れた河川環境教育の教材開発をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
地域全域で先進的な自然環境教育の実践を進めている地域(福井県勝山市、宮城県気仙沼市等)へのインタビュー調査の日程調整ができず、年度を超えてしまったが、早急に執行する予定である。 その他、主たる予算の用途として、デジタルガイドブック開発のためのソフトの購入と、観察会での試行のため、高輝度でGPS機能付きのタブレット型端末を購入する予定である。
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