研究課題/領域番号 |
23501064
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
村井 康二 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (90273812)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生理指標 / 感性 / センス / 教育訓練 / シミュレータ / 訓練評価 |
研究概要 |
操船者のコモンセンス「経験による操船能力」や個人センス「操船センス」の生理指標を用いた定量評価が可能となれば、その手法は、操船者(ヒト)の技(ワザ)・術(ジュツ)の体系化に直接的であり、技術(海技)の効果的な伝承を支援可能とする。そして、実船操船やシミュレータ操船による教育・訓練を定量的に評価可能とする。また、シミュレータをより効果的に活用するための装置要件や乗船経験度を評価するための定量的手法への確立にも発展できる。操船者の関わるあらゆる問題に対する客観的な尺度となることが期待できる。 本研究では、操船者の共通技術とその技術に関与する個人センスの両視点から、3種類の生理指標(心拍変動、顔面皮膚温、唾液アミラーゼ活性)による定量評価を試み、さらにチーム員相互の応答関係から、チーム評価についても検討することを目的とする。 平成23年度では、基礎データ収集を行うための実験を行った。具体的には、Step 1)実験シナリオ作成およびStep 2)シミュレータ実験から構成する。被験者は、専門家である船長経験者、フレッシュマン(学生、乗船経験者)とした。 1)シナリオ作成: 出入港操船は、短時間内に多くの操船判断を連続的に行わなければならない代表的な操船ケースであることから水先教育で使用されているシナリオを活用した。 2)シミュレータ実験: 実験環境が整備容易なシミュレータ実験を行い、操船時の生理応答の測定および行動解析を行った。生理指標としては、心拍R-R間隔、顔面皮膚温、唾液アミラーゼ、唾液NOの測定を行い、シミュレータ実験では顔面皮膚温が非接触で測定可能、かつ複数人同時測定が期待できる結果を得た。さらに、唾液NOを新規の指標として採用し、その応答を確認でき、指標としての有効性を期待できる結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3種類の生理指標(心拍変動、顔面皮膚温、唾液アミラーゼ活性)による定量評価を試み、さらにチーム員相互の応答関係から、チーム評価についても検討することを目的し、平成23年度では、実験環境を制御しやすいシミュレータ実験を手掛け、特に顔面皮膚温については、個人およびチーム評価ともに良好な結果を得ることができた。しかし、唾液アミラーゼ活性については、個人の生活活動を含む基礎データもさらに蓄積し、応答を精査する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の計画では、実船実験を実施し、専門家である船長経験者の特徴をシミュレータ実験結果と比較、評価し、操船者の基本応答パターンを抽出するとしているが、前年度の課題となった唾液指標の精査を再度、シミュレータ実験により実施することとする。そして、実船実験については、フレッシュマンを対象とした基礎実験を行い、各指標に対する応答を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の結果に関する公表として、国際会議等に投稿を行う。そして、今年度に引き続きシミュレータ実験を実施する為の実験補助を雇用する。唾液指標については、さらなる基礎実験も必要である為、十分な測定試薬を必要とする。また、新指標である唾液NOについても、測定に必要なセンサ電極等、消耗品が必要となると見込まれる。
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