研究課題/領域番号 |
23501064
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
村井 康二 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (90273812)
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キーワード | 生理指標 / 心的負荷 / チーム評価 / 操船 / 操縦者 |
研究概要 |
本研究の目的は、船舶の操縦者(操船者)に対して有効な心的負荷の応答が確認できる3種類の生理指標(心拍変動、顔面皮膚温、唾液アミラーゼ活性)を用いた定量的な技能評価を行い、共通技能および個人技能を客観的に検討し、チーム作業評価へと展開することである。そして、今年度は前年度のシナリオ作成および、そのシナリオに対するシミュレータ実験を踏まえた実船実験による専門家の心的負荷評価実験を行い、その測定データの再現性からコモンセンスと個人差における個人センスの評価を行うことを目的とした。具体的には、水先修業生を被験者とした出入港および港内航行における心拍変動および唾液酵素による評価、さらに水先人を対象とした出入港および港内航行における心拍変動による評価を行い、乗船経験年数による差異を、その心的負荷の変動傾向から評価できる可能性を得た。しかし、一方では、実船実験における唾液酵素採取および顔面皮膚温測定の手法に関する工夫を必要とする新たな課題が生じた。今年度は、さらにシミュレータ実験も積み重ねることにより、専門家および訓練生を対象とした実験を行い、3種類全ての測定データの蓄積および唾液NOの可能性を見出した。 今年度の研究実績から、生理指標:心拍変動、顔面皮膚温、唾液アミラーゼ活性および硝酸の操船者に対する心的負荷評価について有効性が確認されたこと、および測定の工夫を必要とすることが明らかになった。唾液採取については、金属製スプーンを用いた簡易な方法を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3種類の生理指標(心拍変動、顔面皮膚温、唾液酵素)による心的負荷の評価を試み、唾液酵素に関しては、アミラーゼ活性に加え、硝酸酵素も有効である可能性を見出すことができた。また、平成24年度では前年度のシミュレータ実験を踏まえた実船実験を実施することを計画通りに進め、専門家および乗船経験年数の異なる複数被験者に対するデータ評価を行うことができた。さらに、シミュレータ実験も実施し、専門家および訓練生のデータ蓄積を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では、シミュレータ及び実船実験で課題となった1)金属製スプーンによる唾液採取法の確立、2)実船実験における有効な生理指標の確立を基礎とし、両実験を実施することによりデータの蓄積を行い、専門家の応答特性について精査するとともに、ブリッジチームの評価についても評価を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年、24年度の成果に関する公表として、国際会議等に投稿を行う。実験には実験準備等を含めたデータ測定のための実験補助者を雇用する。唾液指標については、金属製スプーンの評価を行う必要があるため、各種スプーンを必要とする。また、従来の試薬等も必要とする。
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