研究課題/領域番号 |
23501072
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
吉冨 賢太郎 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 講師 (10305609)
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研究分担者 |
川添 充 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (10295735)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | eラーニング / 数式処理システム / 数学教育 / TeX |
研究概要 |
研究の目的は, Web 数学学習システム(以下現システム)をコンテンツ作成者(教員・管理者)と利用者(学生)の2つの立場から改良を加えることと, コンテンツ共用ができるようにするために, 他の教育機関においても幅広く利用できるよう汎用化することである. 所属機関において運用中の現システムは, 開発業者に委託して改良することができる. 今年度は主に, 現システムを土台とし, 大学教育推進プログラムの計画として行なわれた「数学到達度評価システム」の作成において改良を試みた. また, 汎用化やシステム利用者の立場からのユーザーインターフェイス(以下 UI)の改良について, 基礎的な調査・研究・会合を行った.まず, 上述の目的のうち, コンテンツ作成者の立場から「数学到達度評価システム」の問題作成機能の改良を考案し, 開発・実現した. これにより, コンテンツの作成が一般教員にとって平易なものとなったと期待される.また, UI の改良として, Mathematica のメーカーであるウルフラムのワークショップに参加し, iOS アプリとしての汎用化の可能性を調査した. ウルフラムによるiOSアプリには, UI として重要な専用ソフトウェアキーボードが実装されており, これが本システムの UI にも適用できないかを検討した. また, Javascript による同様のソフトウェアキーボードも申請者独自に試作した.最後に汎用化の研究として, 現システムのデータベース(以下DB)の構造が不明であるため, 一般論として汎用化の方法やDBの構造を検討した. DBの重要なポイントである単元間関連について, 現システムの「線形代数」の利用実績ログからつまづきについて分析し, 単元間の関連性を調査し, その結果を日本数学教育学会において論文発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Web数学学習システムおよび数学到達度システム(以下システム)は現在所属機関において業者委託によって開発されている. これを, 23年度末あるいは24年度にかけてソースやDBの構造を公開してもらい, 実際に改良に着手して行く予定であったが, システムの開発基盤である大学教育推進プログラムが打ち切りになったため, 計画が変更され, 次年度行う予定であった現システムの改良などが前倒しで行なわれることとなった. そのため, 汎用化の研究の部分で予定を変更し, DB 等については, 別途システムとは別に設計し, 現システムは他大学で運用されている類似のシステムとのコンテンツの共用化を目標に優先的に研究することとした. そのため, 独自のサーバーで現システムと同様のシステムおよび類似システムで世界的にも他教育機関で利用されつつある Maxima を用いた Stackを運用する準備を, UI改良の研究用に購入したハードウェアを利用して行なっている. システムに必要な手順がかなり複雑であるため, この準備がやや遅れている. また, 汎用化のためには, さらに DB の項目(フィールド)の細分化が必要と考えており, 今後の汎用化の実現はDBの設計に大きく依存するため, 設計にはかなり慎重になっており, その点も進捗が遅れている原因となっている. しかし, UI の改良などの点においては, システムの内部には依存しない問題であり, 計画通り進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は, 「数学到達度評価システム」において改良された問題作成機能について, 汎用化, すなわち, 背後で使用する CAS(数式処理システム)への依存部分の切り分けを検討し, 開発業者に協力を依頼し汎用化された形での作成機能の独立化を目指す. 同時に作成するコンテンツの項目を確定させるためには, DB の構造を決定していく必要があり, 確実に必要な項目を中枢となるテーブルとして決定していき, 単元情報などこれから定めるべき規格については, 教育システム情報学会などで提案を行いながら, 後方互換性を維持できるような項目設定を進めて行く. また, DB に組み込むべき要素である単元のDBについて, (1) 線形代数の単元を複数の教科書で調査し, 単元のDB化を別途行う. (2) 単元間の依存を記述する方法を策定し, DB 表として策定し公開していく, の2点を重要なポイントとして研究していきたいと考えている. (1) については, 千歳科学技術大学の類似の先行研究があり, これを拡張または修正する形で策定できるかを検討していく.また, コンテンツの問題文について, TeX での記述が望ましいが, 現システムは jsp で記述されているため, データの相互変換についても調査する. また, 類似システムであるStack(Maxima)や Maple のシステムについても相互変換を検討し, 他のシステムとのコンテンツ共用を促進して行きたい.最後にUI に関して, 試作した Javascript を現システムに組み込むと同時に, iOS アプリの試作・iOS 上の ブラウザでの運用試験・CDF(ウルフラムの提唱するドキュメント形式)への変換などを行なって行く.
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度においては, 本研究に関連するワークショップや研究集会がいくつかあったが, Web数学学習システムや数学到達度評価システムの開発の基盤予算である大学教育推進プログラム「学士課程教育における数学力育成」とも深く関連するため, 当該プログラムの予算で分担者とともに出張したため, 本研究での予算使用が少なくなった. そのため, 次年度使用額が発生した.次年度の使用計画としては, 現在, 主に研究で使用しているノートPCについて, Mathematica と Maxima など複数のCAS を同時に使用するなど, 研究に使用するには能力が不足するため, ノートPC を新規に購入する予定であり, 次年度使用額は主にこの目的で使用する予定である.また, 次年度は, DB 策定に関して協議や発表を行う予定があり, 情報システム教育学会や数学会などに一部は分担者とともに参加し, その旅費に充当する.ハードウェアとして, コンテンツの共用化を目指すため, 外部からもアクセス可能な独自サーバーを立て, git サーバーや Web サーバーとして運用するため, 1台以上の PC や周辺機器の購入も予定している. また, タブレットPC などで iOS や Android 端末などにおける動作確認用に必要に応じて購入したいと考えている. また, サーバー運用やアプリ開発に必要な専門書の一部は購入済みであるが, さらに必要に応じて購入する予定である. また, コンテンツ(問題)作成のために専門基礎数学もしくは数学一般の専門書を若干購入する見込みである.
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