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2011 年度 実施状況報告書

低炭素社会形成のコンセプトを掲げる環境教育の在り方についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 23501074
研究機関大正大学

研究代表者

高橋 正弘  大正大学, 人間学部, 准教授 (10360786)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードアジア / 低炭素 / 環境教育 / 持続可能な開発のための教育
研究概要

アジア諸国において低炭素教育がどのように開始され、どのようにとらえられているかについての基礎的な調査を行った。4か国(インドネシア・韓国・台湾・ネパール)から、実施状況報告書を収集し、そこでどのようなコンセプトが誕生しているかについての把握を行った。その結果、低炭素教育というものは、従来からの環境教育の枠組みの中で一部開始されている国があることが明らかになったが、それは持続可能な開発のための教育(ESD)という新たな国際的な教育運動の発生と展開が後押しをしていることも同時に明らかになった。マレーシアの熱帯林保全の活動は、生物多様性保全関連の教育活動と通常とらえられるべきであるが、森林が二酸化炭素吸収源であることを考慮して、低炭素教育の現場となると仮定し、サバ州での行政機関がどのような取り組みをしているかについて調査するとともに、森林保全教育の現場がどのような活動を行っているかの聞き取り調査を行った。その結果、森林保全が低炭素を促すものであるという認識は、マレーシアの州政府関係者間に一定程度把持されていて、その認識は今後ますます増大していくであろうことが予測されることが明らかになった。カンボジアの農村では、依然として電気のインフラが整備されていない場所が多く、学校現場で電気を利用していないとこともある。そのうちの一つの小学校を訪問し、教育活動において電気を使うことができない現場の問題点や課題の聞き取り調査を行った。その結果、現場の教職員は自宅がすでに電化されている人もおり、教育現場の電化を強く求めている一方で、結局は電気料金のコスト負担が学校で学ぶこどもたちの家庭にのしかかってしまうことが危惧されているということが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アジア各国から現状報告書の執筆依頼を行った。当初想定していた予定数には達しなかった。その理由は執筆協力者の選定が困難な国があったからであるが、結果として4か国から、相当密な報告書を入手することができ、全体的な概要を把握することができたため、これらの国の情報に、既存の報告書等の精査を加え、さらに日本の状況を加味することによって、十分に情報を得ることができた。アジア地域の調査に関しては、当初の予定通り、マレーシアとカンボジアで聞き取り調査を中心に行った。当初想定していた内容を、データ収集できた。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、<In-Depth>の研究として、3カ国程度を取り上げ、社会経済状況の違いを踏まえ、そこで展開されている低炭素教育の特性や、障害についての分析を実施する予定である。初年度に収集した4か国からの状況レポートの分析を通して、低炭素教育の実施の有無とその状況を踏まえて、問題点および課題の検討と分析を行う。そのため、いくつかの国や地域への訪問調査も行う。特に、訪問調査の対象国として、新興工業国かつ産油国であるブラジルを取り上げることを想定している。訪問調査で収集するのは、主として質的データとなるため、調査に際しては実際に環境教育が行われている現場で、もしくは環境教育の担当者や関係者から、直接聞き取りをし、また実践活動の観察も可能な限り行って、多面的な情報を得るよう意識する。これまでの状況レポートと訪問調査で収集した質的データを基に、ある程度まで「環境教育のゴールとなり得る低炭素社会像にはどのようなものがあるか」「環境教育の実践の中に低炭素社会のコンセプトがどう取り入れられているか」「低炭素社会の形成という目標が世界の環境教育の中でどの程度共有されているか」を分析し、結果を整理する。その中で、前年度に収集したレポートおよび各国での聞き取り調査の成果について、改めて精査を行い、必要に応じて追加調査を実施する。各国の関係者が多く参加する国際会議のサイドイベント等の現場で、必要に応じて情報収集を行い、低炭素教育のさらなる全体的な傾向を把握するよう努める。

次年度の研究費の使用計画

Rio+20のサイドイベントを行い、これまでの低炭素教育調査の中間報告を行い、あわせて全体的な傾向についての各国からの情報を収集する。カンボジアの調査を継続的に実施し、低炭素教育の現場での具体的なトライアルについて、アクションリサーチを行う。最終年度に向けて、可能な限りの情報と資料の収集に努める。研究費は、主として旅費での使用が大きい割合となる。研究代表者および現地への同行を研究協力者に求めることとする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 環境保全活動・環境教育推進法の改正に関する一考察2012

    • 著者名/発表者名
      高橋正弘
    • 雑誌名

      大正大学研究紀要

      巻: 97 ページ: 186-192

    • URL

      https://tais.repo.nii.ac.jp/

  • [図書] アジア・太平洋地域のESD2012

    • 著者名/発表者名
      阿部治・田中治彦
    • 総ページ数
      219-241,342-364
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2013-07-10  

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