研究課題/領域番号 |
23501080
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研究機関 | 湊川短期大学 |
研究代表者 |
大森 雅人 湊川短期大学, その他部局等, 教授 (00194308)
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キーワード | 科学教育 / 幼児教育 / 保育者養成 / 教育方法 / 学習環境 |
研究概要 |
本年度は、調査研究を実施する予定であったが、計画変更して「養成校学生の科学的思考育成のための教育」の教育方法について、構築した学習環境の活用に関する検討と教育効果に関する検討を優先した。理由は、研究代表者の所属研究機関が平成25年度から変更となることが内定し、現所属研究機関で実践できるのが平成24年度までとなったためである。 以下に、検討した学習環境の活用方法とその教育効果について概要を述べる。 学習環境は、クラウドサービスのEvernoteを中心としている。このサービスの活用により、学生の気づきやアイデアはリアルタイムにデータベースに蓄積でき、教員は蓄積されたデータに対してやはりリアルタイムにアドバイスをすることができる。また蓄積されたデータを分析して得られた知見は、同じ授業時間内でタイムラグ無く学生にフィードバックできる。それによって、学生は臨場感を保ったまま視覚化された自分たちの考えや他者の考えに触れることができ、自分たちが考えたことの持つ意味を再認識すると同時に、自分たちには無い他者の考え方を取り入れるプロセスを持つことができる。 実践の結果、学習環境は問題なく使用でき、学生はリアルタイムに考えを蓄積し、同時に他者と共有することができていた。学習環境を用いた感想を自由記述(無記名)で回答させた結果、ポジティブな回答が多く見られた。具体的には、学習環境を用いた学習に対して100%の学生がポジティブな意見を持っていた。また72%の学生が、使いやすさに関連する何らかの記述(見やすい、分かりやすい、楽しい、便利など)をしていた。学生間で情報が共有できるメリットについても、56%の学生が記述をしていた。リアルタイムであることのメリットに関しても、32%の学生が記述していた。これは今回の実践において、学習環境を使用することの成果があったことを示す結果であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、平成23年度中に実施できなかった調査研究に関して、本調査を実施して、結果の詳細な分析を行い、そこで得られた知見からカリキュラムと教育方法の検討を行い、保育者養成における科学教育カリキュラムを立案する予定であった。しかし、研究代表者の所属研究機関が平成25年度から変更となることが内定し、これまでの実践フィールドであった現所属研究機関での実践が平成24年度までとなったため、研究計画を変更して、構築した学習環境の活用に関する検討と教育効果に関する検討を優先した。 以上の点から、教育方法に関する検討については順調に進展し一定の成果も得られつつあるが、もうひとつの柱である調査研究に関しては進展していない状況である。よって、総合的には「やや遅れている」状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の収支状況において、次年度に使用する予定の研究費があるが、それは研究計画の変更により生じたものである。研究計画を変更したのは、研究代表者の所属研究機関が平成25年度から変更となることが内定し、これまでの実践フィールドであった現所属研究機関での実践が平成24年度までとなったため、構築した学習環境の活用に関する検討と教育効果に関する検討を優先する必要があったためである。なお、実践のフィールド確保に関して、平成25年からの所属研究機関も保育者養成課程があるので、そこにおいて実践できる予定である。 平成25年度は新しい所属研究機関において、次の計画で研究する予定である。 平成24年度に実施できなかった調査研究に関して、全面的に調査内容の見直しを実施して、予備調査段階から始めて、その結果により本調査を実施する。調査結果の詳細な分析を行い得られた知見と、これまで取り組んできた授業実践の結果から得られた知見を総合的に検討して、カリキュラムと教育方法の検討を行い、保育者養成における科学教育カリキュラムを立案する予定である。 同時に、新しい所属研究機関においても学習環境を構築する必要があるので、そのための検討も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は調査の実施を予定しているので、専門書籍、調査用紙の印刷費、調査のための旅費、データ集計を外部に委託するための謝金、調査のための通信費、さまざまな消耗品費(印刷用インク、トナー、用紙など)等に使用する予定である。 同時に、新しい所属研究機関において、学習環境の構築と教育方法の検討の行うので、そのための経費としても使用する。 また、成果発表のための旅費としても使用する予定である。
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