研究課題/領域番号 |
23501080
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
大森 雅人 神戸常盤大学, 教育学部, 教授 (00194308)
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キーワード | 科学教育 / 幼児教育 / 保育者養成 / 教育方法 / 学習環境 / ICT |
研究概要 |
本年度は、「幼児期に求められる科学教育が実践できる保育者養成教育」のための授業の設計に新たに取り組むとともに、その授業を支援するための学習環境についても新たに開発を行った。学習環境の開発を行ったのは、前年度の研究により従来の学習環境に課題があることが明らかになったためである。 開発した授業は、「自然事象に対する興味・関心」「科学的思考ができる力」「子どもの科学的思考を育成するための環境設定と援助ができる力」という3つの力の育成を目指し、それに対応する3つのステップを設定した。すなわち、ステップ1では、「自然事象に対する興味・関心」を、自然とかかわるゲーム中に感じた事を意識化させる過程を通じて育成することを目指す。ステップ2では、「科学的思考ができる力」を、科学的思考を用いて課題に取り組む3回の活動を分析的に見て自己認知していく過程を通じて育成することを目指す。ステップ3では、「子どもの科学的思考を育成するための環境設定と援助ができる力」を、指導計画として立案する過程を共同学習することによって育成することを目指す。 学習環境は、この授業の進行中におけるほとんどの場面で活用し、「思考の外化」、「新たな考えの創出」「思考過程を客観的に理解」などの支援をする。 学習環境の概要は、次の通りである。機器構成は、ノートパソコン1台(データベースサーバ用)、無線LANアクセスポイント機器1台、ポータブル電源1台、タブレット端末(必要数)である。モバイル運用が可能であり、実践場所を選ぶこと無く、戸外や普通教室において同じ学習環境を連続して使用できる。イントラネットで構成しているので、実践場所のネットワーク環境にも影響されない。 授業設計とそれを支援する学習環境の開発ができたので、実践を行い教育効果の検討を行う条件が整った。これにより、実践的に研究を進めることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度(平成25年度)は4年計画で進めている本研究の3年目にあたり、予定では「幼児期に求められる科学教育が実践できる保育者養成教育」に関して、立案した授業に関する試験的な実践を行い,その効果についての評価を実施して、立案した授業の見直しを行うことになっていた。しかし、研究代表者の所属研究機関が平成25年度から変更となり、これまでの実践フィールドであった前所属研究機関での実践が平成24年度までとなった。さらに現所属研究機関では、実践予定科目の開講年度の関係等で、実践を再開できるが平成26年度からとなった。そのため平成25年度は、授業設計とそれを支援する学習環境の開発のみを実施したことにより、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度に開発した学習環境を活用して、幼児期に求められる科学教育が実践できる保育者養成のための試験的な授業実践を実施して、その教育効果に関する検討を行う。 同時に、これまで実施していなかった調査研究に関しても方針を変更して実施する。調査対象を「保育現場における科学的思考関連の実践内容」として、すでに公表されている実践報告の収集・整理・分析を中心とした文献調査として実施する。この結果は、適宜、授業実践にフィードバックして活用する。 なお、平成26年度に実施する試験的な授業実践の教育効果の検討において、十分な成果が得られていないと判断した場合は、繰越申請を行い4年間の研究を5年に延長して対応する予定である。
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