研究課題/領域番号 |
23501081
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
細川 靖 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (50270195)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 北限の海女 / 仮想体験 / 技術伝承 / センサノード / モーションキャプチャ / ユーザインタフェース / 出前授業 / 技術教育 |
研究概要 |
これまで研究した仮想体験学習システムを基にして現実感向上を行い発展させるため,平成23年度は,海女水中計測のための一次調査と現実感向上のためのインタフェース検討を行った。1 海女水中計測のための一次調査 (目的:センサノードを用いた海女個人ごとの潜水時のデータ計測,潜水時ビデオ撮影,データ分析,現地データ収集) 東日本大震災の津波の被害により久慈市小袖海岸も甚大な被害を受けた。そのため当初予定の中で,安全確保が確実な部分のみを実施する事となった。実際の小袖海岸の海女に潜水を依頼し,試験的な潜水をしてもらった。その様子の撮影を潜水業者のダイブサービスアネシスに依頼した。センサリングネットワークの信頼性を高めるため,新たなセンサノードを検討し複数化を行った。また,海女の潜水時に,センサリングネットワークを用いて,XYZ軸の回転,加速度,水温,明るさなどのデータを計測し,個人ごとの特徴を記録するためのセンサリングネットワークの試作を行った。この試作には研究協力者として,八戸工業高等専門学校電気情報工学科久慈憲夫教授に依頼して行った。収集したデータの整理・現地調査補助には研究補助として,本校学生を依頼した。2 現実感向上のためのインタフェース検討 (目的:海女の操作インタフェース検討とそのインタフェース試作) 海女の潜水時の動作を,仮想体験システムで反映させるため,手の動きを簡単に取得できる手袋型のハードウェアの付加で,操作者が容易に操作できるインタフェースを検討し,試作を行った。新たに試作したインタフェースを追加し,初期段階の評価として仮想体験システムを用いて,海女とイベント等で試行的な調査を実施した。このとき,アンケート結果を元に,システムの初期評価を行った。これにより潜水操作インタフェースが大幅に小型軽量化できたことが分かった。またハンドサインの認識率も向上を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年3月11日に発生した,平成23年東北地方太平洋沖地震により岩手県久慈市小袖海岸も甚大な被害を受けた。港湾施設のみならず,北限の海女の活動拠点である「海女センター」も津波の襲来で跡形無く破壊された。夏には仮設の海女センターの開設が行われたが,湾内に沈む瓦礫などの影響で,海女の安全が確保できず,本格的な調査ができない状況であった。そのため,本格的な計測装置を装着した海女のセンサノードを用いた海女個人ごとの潜水時のデータ計測は断念し,資料としての試験的な海女の潜水を,ダイバーによる海中映像撮影で実施した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに,研究の第一段階として,センサノードの試作と操作インタフェースの試作ができた。試作した手袋型の潜水操作インタフェースについては,仮想空間内での操作性と現実感向上を継続する。次に,久慈市小袖海岸の海女センターの実際の現場にて,試作したセンサノードの有効性を確認する。海中のモーションキャプチャについては,平成23年度は津波の被害で本格的な潜水調査ができなかったため,海女の調査は操作インタフェースのみであった。そこで,次年度は津波被害からの復旧状況を鑑みつつ,安全確保を第一として海女が漁を行っている9月までの間に再度潜水調査を実施する。研究の遅れについては,研究協力者として本校専攻科学生・研究生を加え,研究補助を行い研究進展を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,現実感向上のための海女水中計測調査を行う。海女の潜水時のモーションキャプチャとデータ計測,潜水時ビデオ撮影,データ分析,現地データ収集海中の計測・解析を行うため,モーションチャプチャシステムや画像解析用PC,撮影用カメラを調達予定である。これらと試作したセンサノードを用いて,海女の動きのモーションキャプチャを行う。また,平成23年度は東日本大震災の津波の被害で本格的な潜水調査ができず傭船等が実施できなかったため,平成24年度に含めて実施の予定である。また,関連した研究成果について,本校専攻科の研究協力者と学会発表を行う予定である。・現実感向上のための海女水中計測調査目的:平成23年度に追加し,潜水時のモーションキャプチャとデータ計測,潜水時ビデオ撮影,データ分析,現地データ収集 潜水場所を変更して,実際の小袖海岸の海女に潜水を依頼し,ベテランや若手の海女に潜水をしてもらい,その様子を分析するため,有線のビデオカメラを2台用い潜水業者のダイブサービスアネシスにビデオ撮影を依頼する。久慈市漁業生産部には,観測用の船の手配を依頼する。天候が悪く計測できない場合には,海女が漁を実施している9月末までの間に再度行う。9月末までに再計測できない場合には次年度とする。モーションキャプチャに関しては,研究協力者の市村洋教授にアドバイスを受ける。潜水時には,23年度に試作したセンサリングネットワークを用いて,XYZ軸の回転,加速度,水温,明るさなどのデータを計測し,海女個人ごとの特徴を記録する。センサリングネットワークの開発には,研究協力者の久慈憲夫教授に依頼する。収集した,ビデオ画像や,センサリングネットワークで計測したデータをもとに,ベテランと若手など海女ごとの分析を行う。データ整理・現地調査補助には研究補助として,本校学生に依頼する。
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